桃の節句、ひなまつりに飾る植物は?『桃』ではなくて『桜』と『橘』を飾るわけ

ひな祭り表紙
ひな祭り表紙

3月3日は言わずと知れた『ひな祭り』

ルーツは中国の節句に由来するが、中国ではひな人形はありません。

ひな人形はどこから来たのだろう(。´・ω・)?

そして、ひな祭りの花といえば『桃』だけど、ひな人形に飾られているのは「桃」ではないんです(=゚ω゚)ノ

いったいなんの植物が飾られるのか?

そのルーツつともに紹介していきます(≧▽≦)

「ひな祭り」は災いや穢れを水に流す神事だった

万葉集など平安の書物に”ひな飾り”は出てこないけど、陰陽師がお祓いをした人形を船に乗せて流す情景が描かれている。

これは今でも『流し雛』という風習として各地に残っていて、これがひな人形の起源になったといわれている。

この人形に、はじめは『植物』が使われていたのではないか。と言われている。

香と白さを備えたフジバカマや、白い毛でおおわれ摘むと香りのあるハハコグサなどが使われていたという研究もある。

(フジバカマは秋の花なので、時期的に花はないけれど、葉に香りがあるので利用されていたと考えられています)

参考リンク→: フジバカマは桜餅と同じ香り?!楽しみ方と育て方~秋の七草6~

ハハコグサは草餅の原料としても利用されていた

現在、草餅の原料として使われているのはヨモギだが、これは元はハハコグサが使われていたといわれています。

ハハコグサは春の七草のひとつで、古名では『オギョウ』と呼ばれている草。

ヨモギと同じように葉に白い毛のようなものが生えている野草で、黄色い花を咲かせます。

参考リンク→:秋の七草・春の七草、違いと覚え方。

じつは、草餅を作るにはこの「毛」が重要な役割を果たします。

ハハコグサもヨモギと同じように葉に細かい毛があり、餅に混ぜるとこの毛が絡まり、草餅独特の”コシ”を生み出す秘密になっているんです!

しかし、草餅の原料は次第にヨモギだけに・・・

穢れを払う植物としては最適だったハハコグサですが、縁起の良い晴れの日に食べる草餅を作るのに”母子をつぶす”のは縁起悪いとされたからです。

日本人は古来から言霊、言葉の力に敏感だったんですね。

参考リンク→:ジャパニーズハーブ「蓬」この漢字は”草餅”の原料として有名な”ヨモギ”です。

話は戻って、『流しびな』

はじめは単に、草を人とみなして流していたが、のちに草は草人形へかわり、ススキ、アシ、チガヤなどで人形を作り流すようになります。

参考リンク→: 日本の秋風景「ススキ」育て方と、新品種「タイガーグラス」~秋の七草2~

ススキもお月見や、社のしめ縄など神事に利用される植物ですね(=゚ω゚)ノ

ひな祭りが盛んになったのは江戸時代から


平安の時代の『ひな祭り』は流しびなだった。

では現在のようなひな人形はいつから??

実は結構最近、とは言っても江戸時代位からだと言われています(;^ω^)

今までさ~っぱり『桃』の話が出てきませんが、ひな祭りに飾る『花桃』(花を観賞する桃)の改良が進んだのは江戸時代になってから。

さらに甘い『実桃』(いわゆる果物の桃)が誕生するのはなんと明治以降まで待たなくてはいけない(◎_◎;)

日本の『桃』は今の桃じゃない?!

明治時代までの『桃』は20~70gと小さく食用としての重要性は少なかった。

「おいおい、古事記ではイザナギノミコトが桃の実で黄泉の者を退治しているじゃないか」( ゚Д゚)

という方がいるかも知れませんが、この『桃』はヤマモモだったのではないかとも言われています。

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桃がバラ科で中国原産なのに対し、ヤマモモはヤマモモ科で日本原産。

平安前の『桃』と言えばこのヤマモモを指していました。

今でも関東より南では街路樹などで見られる常緑樹。

雄雌別なので街路樹で実をつけてるのは見ないけど、地方によっては今も果樹として利用される、知る人ぞ知るくだもの。

ただ日持ちしないので加工品としてしか流通しない。

私はまだ食べたことがない(;´・ω・)

  

ただし、いわゆる「普通の桃」がなかったのかといえばそういうこともなく、最古のものは約3500年前、縄文時代後期の遺跡から見つかっている。

弥生時代には、さらに各所から多数の出土が見られることから、この頃すでに中国からもたらされた可能性が高いようだ。

中国で、桃は”仙人の食べ物”

桃は中国では仙人の食べ物として古くから栽培されてきた歴史があります。

古くから霊力のある実として珍重され2500年前から栽培の記録があると言われていることから、イザナギの桃はやっぱり『現代の桃』である可能性も捨てきれません(。-`ω-)

最も中国で仙人が食べる桃は「蟠桃」(バントウ)と呼ばれる潰れたような形の桃で、今イメージする桃とはちょっと違う。

日本のものよりかっちりとした果実のようです。

果実としての販売は、日本国内ではほとんどないけど、苗木は果樹苗で販売されることがあります。

チャレンジして仙人の果実を味わってみよう(≧▽≦)

話を戻そう。

栽培が盛んになったのは江戸時代だが、平安の時代にはすでに渡来していた桃、しかしその頃は花や実を楽しむのとは別の目的で栽培されていた。

この理由こそがひな祭りに『桃』を飾る大きな理由であり、イザナギが悪霊退治に使ったともいわれる所以(゜o゜)

秘密は『桃』の漢字にあり!

『桃』は古来から中国では仙人の食べ物・邪を払う実と信じられており、それが日本にも伝わって『霊力のある果実』として珍重されていった。

ただ、昔の桃は今の桃のような大きな実ではない。

おそらくそこまで甘くもなかっただろう。

だとすれば、似たような仲間に梅や杏もあるのだから桃だけが特別扱いされるのは不思議に感じる。

実は桃の実にはもう一つ重要な役割があった。

それは・・・占い。

桃の漢字は『木』と『兆』にわけられる『兆』は兆し(きざし)。

未来を暗示する文字が含まれるのは桃の実を使い占いを行っていたからに他ならない。

桃の種は硬い殻(核)に覆われていて、その中に仁と呼ばれる種が入っている。

この種。パッカーンと2つに割れるんです!で、その割れ方を見て吉兆を占うそうです。

こちらのブログで種を割って発芽する様子が見られます)

このパッカーンと2つに割れるという特徴は桃特有のものでほかの植物ではあまり見ることがない、そのために特別視されてきたということです。(゚д゚)!

核が二つに割れる、それは良い兆しと考えられ中から新たな生命の種が生まれる。さらに種は薬用としても効果が高い。となれば、”仙人の果実”とされても不思議はない。

桃太郎がパッカーン問われて誕生するのもこの流れからきているんですねφ(..)メモメモ

兆しという漢字はもともと亀の甲羅を割って入ったヒビを表現しており、同じくヒビの入り方で吉兆を占ったということです。

『流し雛』で禊をして、『桃』で吉兆を占う。

ひな祭りは厄払いの神事から発展しているため、この名残で桃の花を飾るんですねφ(..)

このパッカーンの中身、見覚えありませんか?

ついでなので問題↓これなんだかわかりますか?

よくチョコレートの中に入ってる・・・そう。アーモンドです(^o^)

アーモンドは実は桃の仲間。果実はほとんど食べるところがないけど中の種を取り出しローストして食べる。

花はまさに桃の花。栽培も桃が育つ地域なら同じように育てられるので是非挑戦してみてくださいね。

焼きたてアーモンド食べてみたい方は写真クリックで通販購入できますよ(^o^)コレ庭で採れたら最高♪

コレがアーモンドの花。キレイ(*´ω`*)

キレイで美味しい。コレは育ててみたいっ!って方は、大きな園芸店でなら苗木は結構売ってます。

栽培は桃と同じ。レッツチャレンジ!

参考リンク→:アーモンドは家庭で栽培できる!お家で簡単定番ナッツ、アーモンドの育て方。

ひな人形に飾られる植物は?

最初に書いたように、ひな祭りのひな人形、雛飾りに『桃』は飾られていない。

その代わりに、桃と同じようなピンクの花と、ちいさいみかんのような植物が飾られています。

これは『桜』(サクラ)と『橘』(タチバナ)

ややこしいんだけど、日本古来の自生種の柑橘、これが橘(タチバナ)

上の写真のは、中国原産のカラタチ(唐から来たタチバナの意味)で、生垣や果樹の台木に使われるのは現在ほとんどこっち。

タチバナ・カラタチともにミカンの実がなる柑橘だが、実は酸っぱく香りもいまいちで果物としての利用価値がほとんどなく利用されない。

お正月に使われる百両(カラタチバナ)は全くの別種。同じような名前でややこしい(^_^;)

参考リンク→:[縁起植物]万両・千両だけじゃない百両・十両・一両まで紹介。もっとも高価?億両もあるよ

さて、話は戻って、

昔から「左近の桜・右近の橘」と言われ、平安京の内裏にある紫宸殿正面の階段から見て右に橘、左に桜が植えられている。

ひな人形はこれを模して右に橘・左に桜を飾っている。

ちなみに、この右左はお内裏様お雛様から見ての右左なので、正面から見ると左右は逆になります

ミカンは不老不死の妙薬?

昔の日本にはミカンと言えばタチバナしかありませんでした。

遥か1900年以上昔の話。

代十一代垂仁天皇は、信頼していた田道間守という男に『不老不死の果実』を常世の国にとりに行くように命じました。

十余年の時間をかけ、田道間守は『橘』を持ち帰りましたが、その時すでに天皇は崩御されていた。

悲しんだ田道間守は悲しみの中、今は亡き天皇に橘をささげ命耐えたといわれています。

今も垂仁天皇の眠る古墳のわきには、田道間守の墓があり、田道間守は柑橘だけではなく現代では広くお菓子の神様としてもまつられています。

観音山フルーツガーデン 橘本神社の紹介リンク

https://www.kannonyama.com/view/item/012000000001

人気の神様小説『神様の御用人』3巻にも田道間守のエピソードが語られています。

これらの歴史から、

「橘は長寿の象徴とされたから」と言うのはまあいいとして、桜の方は、元々は平安遷都の時に梅』が植えられていたが、枯れてしまったから代わりに桜を植えた。と、あまり言われもなにも無いようなことがウィキペディアには書かれていた(^_^;)

参考リンク→:令和の象徴『梅』の育て方~花梅~

参考リンク→:桜を庭木に植えると大変な理由5選

しかも、その桜も枯れたり燃えたりで何度も植え替えているらしい。

どうせなら『花桃』植えればよかったにって思うのは私だけ??

現在の『桃』は見ても食べても素晴らしい!

改良が進んだ花桃は非常に花が美しい(*´ω`*)


狭いお庭には枝が縦に伸び、ほうき状の形になる照手桃(テルテモモ)がおすすめ(=゚ω゚)ノ


赤白ピンクが一本で楽しめる「源平しだれ桃」(*´ω`*)

大株になると素晴らしくきれい!

これらの花桃には、ほとんど実はつかないか、ついても食用にはなりません。

美味しい桃はコチラ!

桃はもちろん食べても最高(*´ω`*)

よく見る白桃の他にも黄金の桃。

毛がなく、ねっとりとした果肉のネクタリン。

中国の仙人が食べる桃、バントウ桃。

西遊記で孫悟空が食べてたのもコレ。見た目悪いけどめちゃくちゃ美味しい(*´ω`*)


ほかにもたくさんの品種があるから、お気に入りをぜひ育ててくださいね。

家庭果樹で人気の桃、だけど・・・・・・

正直、果樹の中では栽培が難しい部類に入ります(´・ω・`)

まず、虫・病気が付きやすい。

消毒は必須。

実を取るには袋掛けが必要。間違いなく虫と鳥に食べられます。

『八百屋で値段の高い果物は栽培が難しい』というのが私がたどり着いた真理(^_^;)覚悟して植えましょう。

参考リンク→:家庭果樹を育てよう!初心者も安心「ほったらかし果樹」から「珍しい果樹」まで注意するポイントを紹介します

それでも、春の花・その後の実と利用価値も高い果樹。

頑張って育てる価値はあります。

お庭で食べる完熟果実はそれは格別!!!  ・・・・らしいです(^_^;)うちにはないんですけどね。

では、みなさま、よい園楽を~~~ヾ(≧▽≦)ノ

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