日本の秋風景「ススキ」育て方と、新品種「タイガーグラス」~秋の七草2~
目次(*´▽`*)
秋の七草、第2回は「ススキ」です
日本の秋を象徴する植物ススキ。
今更説明することもないような日本の野草ですね。
ススキも万葉の時代から日本人に愛されてきた『秋』を代表する植物『秋の七草』です。
参考リンク→:秋の七草・春の七草、違いと覚え方。
はぎのはな、おばな、くずばな、なでしこのはな、おみなえし、また、ふじばかま、あさがおのはな
(山上憶良
万葉集 一五三八 巻八)
山上憶良の歌に詠まれた『尾花(おばな)』が現代で言うところのススキにあたります。
『尾花』は秋に上がる穂を動物の尾っぽに見立てたススキの古名。
有名なことわざで「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というものがあるけど、これはススキのこと。
疑心暗鬼の陥ると、夜中風に揺れる枯れたススキの花ですらお化けに見えてしまうという意味(=゚ω゚)ノ
ススキの名前の由来は?
現代の標準和名「ススキ」の語源はいくつか説はあるが、「すくすく育つ木」でススキというのが有力みたい(;^ω^)
確かに冬に地上葉が枯れてしまっても、一年で立派に育って秋に大きな穂をつける姿はすごい成長力。
ススキには昔から”魔除け”の効果があると信じられていたため、古い時代から神事に利用されていました。
その名残が『お月見』ですΣ(・ω・ノ)ノ!
中秋の名月にはススキとサトイモを飾る?
今では中秋の名月に、団子とススキを飾るのが主流ですが、もともとはサトイモを飾る収穫儀礼だったと考えられています。
作物を守る魔除けとして『ススキ』は飾られていました。
稲より重要だったススキ
今ではススキは、空き地に生えていても単なる雑草扱いですが、少し前までは生活に欠かせない重要な農作物でした。
茅葺屋根(かやぶきやね)は知っていますよね?
この茅(かや)もススキのことなんです。
ススキ(カヤ)の茎や葉はガラス質のトゲが並び、触るとざらざらしています。
下手に触ると手を切ってしまうほどに鋭い(゚д゚)!
これはケイ素が大量に含まれているから。このおかげでススキの繊維はコンクリートに匹敵するほどの強度を持っているといわれています。
試しにススキを手で引っ張て下さい。
ちょっとやちょっとの力で引きちぎることは不可能です(^_^;)
そのため、茅(ススキ)を束ねて屋根に葺いた茅葺屋根は非常に丈夫なんです。
その他家畜の飼料にも利用されていたため、日本には各地にススキを栽培する「茅場」という土地がたくさんありました。
一部は現代でも地名として残っていますよね。
茅葺屋根は高級だったので、お金のない家は代わりに稲で屋根をふく「わらぶき屋根」が利用されましたが、耐久性は圧倒的で茅葺屋根にはかなわなかったようです。
ススキの学術的分類
ススキはイネ科ススキ属の多年草。学名:Miscanthus sinensis
冬地上部はほとんど枯れたようになるけど、春には勢いよく育つ育つ!
東アジアに10種の仲間が自生するが、そのうち7種もが日本に自生しているっていうから、なじみも深いわけだ。
仲間としてはオギやヨシ(アシ)などだけど、たぶん見ても見分けられない(;^ω^)
ススキ・オギ・ヨシ(アシ)の見分け方
ポイントは株立ちと生育場所。
ススキが一かどちらかと言えば、乾燥する場所で株状に茂るのに対し、オギ・ヨシは水辺に生える。
そして穂に毛があるのがオギ、ないのがアシ(ヨシ)となる。
ちなみに、アシ(葦)とヨシは同じもので、もとはアシであったが、『悪し』につながるとして、『ヨシ(良し)』に言い換えられた。
日をよける「ヨシズ」もこの「葦(ヨシ)」からつくられる。
葦(アシ・ヨシ)が多く映えていた場所は、茅場と同じく地名として残っている場所があり、江戸時代に遊郭が多く並んだ『吉原』などが有名だ。
ススキの園芸品種
山野草では園芸品種として小型の糸葉ススキや斑入りの鷹の葉ススキが栽培されます。
タカノハススキ
鷹の羽の模様のような縞々の斑が入る品種。栄養が豊富な土地では元気に育ちすぎて斑が消えることがあるので注意。
縞ススキ
涼し気な白斑入りの葉を茂らせます。こちらの斑は比較的消えにくい。生育はゆっくりなので他のススキの仲間ほど大きくなりすぎない。
屋久島ススキ
さらに小型のススキ。成長しても1㎡程度にしかなりません。屋久島の高地に自生するススキで山野草や盆栽の素材として人気です。
タイガーグラス
タカノハススキよりはっきりした斑で、株もコンパクト。
穂はほとんど上がりませんが姿の美しい観葉用ススキの新品種です。
アメリカで開発された品種で美しい姿で人気が高い(=_=)
ですが、普通のススキと違ってかなり管理が難しい。
水をあげすぎると根腐れして、上げないと茶色く枯れていく(^_^;)
ちょうどいい水管理が難しいススキです。
むしろ地植えにする方が手間いらずで大株に育ちます。
普通のススキと同じように冬地上部が枯れたら刈り込んでおけば、春に新しい芽が伸びてきます。
パンパスグラス
ススキに似てるけど、シロガネヨシ属という別種。
ススキよりさらに大型に育ち、穂もすごく大きい。切り花などでも利用されます。
管理は基本的にススキと同じでOK
ススキの育て方
秋の雰囲気満点。
丈夫でほっておいてもよく育つ。日当たりのいい場所であれば、地植えしてしまえばほとんど手をかける必要はありません。
お庭に1本いかがですか?
といいたいところだが、やめておいた方がいい(^_^;)
最大2mもの大きさと、年々ボリュームもアップしていく。
土地に余裕がある方のみ地植えしましょう。
一般家庭で育てるんなら鉢植えで制限しながら育てるのがいい。
縞ススキやヤクシマススキなどは比較的コンパクトに育つのでおすすめです。
株元にナンバンギセルはいかが?
どうせススキを栽培するなら、一緒にちょっと変わった寄生植物も育ててみませんか?
ススキの根に寄生するナンバンギセルという植物があります。
ススキが広く栽培されていた時代は各地で見られましたが、今は野生で見つけるのはかなり困難。
山野草として販売されていることがあるから、ススキを栽培するなら一緒に育ててみるのも面白いですよ(≧▽≦)
寄生といても、ススキを枯らすような強い植物ではないのでご安心を(^_^;)
ススキに肥料は与えないで!
土は選ばないので花用培養土なら何でもOK。
肥料は基本的には与えなくてもいいです。
雑草のようなものなので、肥料が多いと大繁殖します。
さらに斑入り品種では斑が消えて緑になってしまうことがあります。与えるなら控えめにネ(^_^;)
上手に使えば秋の季節感を出すのにもってこいの植物。和洋どちらでも合います。
洋風を強く出したいなら上で紹介した「パンパスグラス」がおすすめです。
こちらはススキよりさらに大型なので植え場所にご注意ください。
まとめ
日本の秋の原風景、ススキ野原も今では見ることは無くなりました。
雑草としても一時は外来種のセイタカアワダチソウに押され減少しましたが、近年は線路わきなどではちらほらと見かけることも増えてきましたね。
穂が風になびく姿は素敵ですが、ススキはイネ科の風媒花です。
イネ科の花粉にアレルギーがある方はアレルギー反応が出る可能性があるので注意しましょう。
次回は”葛”(クズ)のご紹介です。
では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙
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