ココア、チョコレートの原料、神の食べ物「カカオ」の育て方。カカオ豆からチョコレートを手作りしよう!
この記事を書いているのは、1月末。
来月には男子であればだれもが気にする一大イベント『バレンタインデー』が控えています(≧▽≦)
園芸業界では、チョコレートではなく、花を贈ろう!というキャンペーン『フラワーバレンタイン』が企画されています。
参考リンク→:チョコを贈るのは日本だけ!?世界標準はフラワーバレンタイン
でも、日本でのメジャーはまだまだチョコレート。
チョコレートの原料といえば「カカオ」だけど、あれ?カカオの木ってあまり見たことないですね(´・ω・`)?
熱帯植物ってことはなんとなくわかるけど、コーヒーノキやバナナと違って、『カカオの木』って、あまり見ることがないかも。
参考リンク→:『観葉植物』コーヒーの木を育てよう。実がなるまで何年かかる?日陰でもOK、室内栽培できる果樹
参考リンク→:バナナの木を育てたい!え?木じゃなくて一年草?栽培は意外と簡単バナナの秘密
そんなわけで、今回はチョコレートの原料、カカオについてまとめてみました(≧▽≦)
目次(*´▽`*)
チョコレートの原料を知っていますか?
チョコレートの原料『カカオ豆』
これは熱帯に生える常緑樹「テオブロマ カカオ(Theobroma Cacao)」の実。
『豆』とはいっても、エンドウマメのような莢に入っているわけではなく、もちろんマメ科の仲間でもありません。
カカオ豆は『カカオポット』と呼ばれる殻に包まれた実の中に入っています。
カカオポットは15~30㎝ほどの卵型の実で、チョコレートのパッケージなどで見たことがあるかもしれませんね(*‘ω‘ *)
このカカオポット。実のなり方がちょっと変わっています。
普通の果実は枝が広がってそこにぶら下がるように実をつけるのが普通ですが、このカカオは幹に直接実をぶら下げる、『幹生果』という実の付き方をします。
幹生果とは?
太い幹に大きな果実がぶら下がる姿は、日本人にしてみるとちょっと不思議(*‘ω‘ *)
でも、熱帯原産の植物には意外とよく見られる性質です。
例えば「パパイヤ」なども同じような実の付き方をします。
参考リンク→:栽培簡単!「パパイヤ」の育て方。家庭でも育てやすい矮性品種のご紹介。
もっと身近なところでは、マメ科のハナズオウ。
早春に、幹にびっしりピンクの花をつける姿は、ちょっとほかの木では見れられない不思議な美しさですよ(≧▽≦)
カカオの名の由来
カカオの学名、 Theobroma
この語源はギリシャ語で、神(theos)の食べ物 (broma)
カカオの原産地、メソアメリカ(南アメリカ)のマヤ神話によるとカカオは羽のある蛇の神によって与えられたとされていて、宗教儀式などにも利用されていた記録が残っています。
ヨーロッパには16世紀はじめに「抵抗力を増強し疲れに打ち勝たせる強壮飲料」として伝わり、貴族の間でもてはやされました。
薬からスイーツに
18世紀までは、煎したカカオ豆をすりつぶして、お湯に溶かすだけで飲んでいた。
しかし、脂肪分を多く含むカカオ豆は、単にすりつぶしただけでは水に溶けにくい。油ギッシュな飲み物だった。
もちろん、そんなもの美味しくもなければ、飲みやすくもない(^_^;)
そこで、飲みやすくするために、はちみつや砂糖を入れて飲むのが徐々に一般化していきます。
甘くしたら、これがまたうまかった!
これが貴族の間で大人気になり、高級なスイーツとしてヨーロッパ中に広まっていきました。
でもまだ、この時は液体のチョコレートドリンクでした。
19世紀初めになると、カカオの粉から脂肪分を取り除き、これに砂糖を加えて甘みを持たせる。いわゆる『ココア』が発明されます。
ココアを開発したのが、有名なバンホーテン社の創業者、オランダ人のカスパルス・ファン・ハウテン。今でも人気のココアの銘柄ですよね。
続いてイギリスで、砂糖入りのカカオパウダーをカカオバターに混ぜ固める方法が開発される。
板チョコの登場だ。
こうしてカカオから、現代のような板チョコレートが作られるようになった。
時にして1847年。
チョコレートはまだ作られてから150年程度しかたっていないんですね(≧▽≦)
カカオってどんな植物?
今では世界的に大人気のチョコレート。
その原料となるカカオ豆をつける「カカオ」とはいったいどんな植物でしょう?
ここからは植物としての『カカオ』について紹介していきましょう(*‘ω‘ *)
熱帯性の常緑樹
カカオは学名:Theobroma cacao
南アメリカ原産、アオギリ科の常緑樹です。現在はアフリカを中心に、赤道付近の熱帯地域で栽培が盛んです。
日本でほとんど栽培がない理由は、カカオの生育には高い温度が必要であるという理由があります。
耐寒性を表すUSDA耐寒性ゾーンは10b~11。
これは日本では、沖縄以外生育できないことを示しています。
参考リンク→:この植物はうちで冬越し出来るかな?耐寒性はUSDA 耐寒性ゾーンマップ(Hardiness Zone)で調べられるゾ!
日差しが強くてもダメ。光に敏感なカカオの木
コーヒーやバナナは大型のプランテーションによる大規模栽培がおこなわれていますが、カカオは大々的な農園が作りにくい植物です。
それは、カカオの苗が強い日差しが苦手で、日陰栽培を行わなければならないため。
そのため、広大な土地に苗を植えてガンガンに日を当てて育てるという栽培が難しく、日陰になる大きな木の下で栽培しなければいけないという難しさがあります。
そのためカカオは大規模栽培・大量生産が難しいく、現代でも高価なものとなっているのです。
カカオを育てよう。カカオの育て方。
カカオを育てたい!
そう思っても、日本で苗を手に入れるのは、なかなかに難しそうです。
何しろ、カカオは生育条件が厳しい。
平均気温27度以上で、年間を通じて気温の上下幅が狭く、さらに高温多湿でなければならない。
その中でも、苗が小さいうちは日陰で育てなければならないなど、簡単に栽培が楽しめる植物ではない。
そのため、観葉植物としての流通などもほとんどなく、まずは苗を手に入れるだけで一苦労(;´Д`)
いろいろ探すと、現段階では、国華園という店で限定数だけ苗の販売があるようだ。
種から育てるカカオ
カカオの苗木は、なかなかにいい値段(^_^;)
しかもうまく育つかもわからない。
では、カカオを種から育てるのはどうだろう?
正直な話、発芽率はかなり高く、25度くらいの温度を維持できるなら、8割以上発芽させることも可能らしい。
しかし、これは新鮮なカカオの実を手に入れることができればの話。
日本で手に入るカカオの実は、乾燥・醗酵をすましてしまっているものがほとんど。
もちろん、これでは発芽させることはできません。
もし仮に新鮮なカカオの実が手に入れば、種を取り出し土に植えれることで、結構簡単に苗を得ることはできるようだ。
ただ、発芽しても葉は非常に薄く、日差しが苦手。
日差しをよけて大切に育ててあげる必要があります。
カカオの栽培
苗を手に入れるだけでも一苦労だが、栽培はさらに困難を極める。
まず大切なのは環境構築。
カカオは寒さが苦手。基本は温室栽培になります。
冬は最低気温を常に20℃以上にキープできるように管理しましょう。
湿度も重要で80%以上が理想。この環境を作るのは結構骨が折れそうです(^_^;)
暑さには強いので、35度くらいまでの温度は問題ないのですが、夏の強い日差しは禁物!
特に苗木のうちは日陰で管理します。
ある程度育った大きな木なら、多少の日差しには耐えられますが、若いうちはしっかり日をよけて管理します。
さらに、病害虫にも弱い。強い風もダメ。
こう聞くだけで難易度の高さがうかがえます(^_^;)
カカオの用土・肥料
カカオを育てる土は、多孔質で腐植土が豊富な、水はけのよい深い土壌を好むといわれています。
それほど土の条件が厳しいということはないようなので、日本の栽培では普通の培養土でも問題はなさそうです。
ただし、株が育ってもカカオは根が浅いため、強風には注意が必要だ。
肥料は、生育期は薄い液体肥料を毎週与えるか、1~2ヶ月に1度、野菜用の肥料などをあたえるのがいいとされます。
カカオの開花・結実
カカオは花をつけるまでに、4~7年と長い時間を必要とします。
花は上で紹介したように、幹に直接花がつく幹生花(幹生果)
環境がよければ成木で年間5000~1万5000個の花を咲かせます。
花は環境が良ければ周年開花します。
受粉した花がうまく育てば、その後、約6か月後、カカオの実が出来上がります(≧▽≦)
ただ、1万以上開花した花のうちで、実際に実になるのは70~300個程。
1%程度しか実になることができない(>_<)
しかも、カカオは自家不和合。
自分の花粉では受粉することができません。
最低でも2本の木がなくては、実を付けることができないんです!
遺伝情報の違う苗、(違う実から育った苗)を2本以上用意しなくてはいけないんですね。
頑張って実を収穫したとしても、チョコレートを作ろうと思ったら、中の豆を乾燥・醗酵させる必要があります。
う~ん、日本国内での栽培はあきらめた方がよさそうですね(ノД`)・゜・。
カカオの成長
順調に育ては、カカオは6~12mに育ちます。
この大きさまで育てば直射日光に当てても大丈夫ですが、ここまで育ってしまうともう温室での栽培は不可能。
沖縄以外では、あくまで観葉植物として楽しむくらいしかできなさそうです。
国産カカオ栽培
ここまで難易度が高い「カカオ」ですが、日本でカカオを栽培しようという会社があります。
こちらの農場では、沖縄本島北部で2016年からカカオ栽培に取り組んでいます。
まだ収穫には至っていないようですが、今後の展開が気になります( *´艸`)
近い未来、100%国産チョコレートが食べられるかも?チェックしてみてくださいね。
結構大変?!チョコレートの作り方
カカオ豆をお庭で育てるのが難しいことはわかった。
でも、やっぱり『カカオ豆からチョコレートを作りたい!』
実は、それだけなら結構簡単だったりします(=゚ω゚)ノ
近年、カカオ豆の健康効果に注目が集まり、ネットでカカオ豆の販売は、結構見つかります。
生のものはさすがに検疫の関係で難しいようですが、現地で乾燥・発酵までを終わらせたカカオ豆は、いくらでも手に入れることが可能。
Amazonや楽天でも、ちょっとお試しできる数百グラムから販売があるので、本当の自作チョコレートにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
カカオ豆~チョコレートまでの工程
カカオ豆は、チョコレートになるまでにいくつもの工程を必要とします。
その間で、名称も、状態も、かわっていきます。
- カカオの実:収穫したてのカカオの実。小さなラクビーボールのような実の中に、30~40個ほどのカカオ豆が入っている。豆の周りには白い果肉がついていてこれも甘くておいしい。
- カカオ豆:実から取り出し、果肉をとったもの。ほとんどは乾燥・発酵まですましてから流通する。日本で手に入れられるのは輸入されたこの状態の豆。
- カカオニブ:乾燥・発酵したカカオ豆をロースト。皮をむき、粉砕・除皮したもの。荒く砕いてヨーグルトに入れたり、そのままかじったりと、苦みのある大人の味がひそかな人気の商品。この状態まで加工された商品で販売されることも多い。
- カカオマス:カカオニブをすりつぶし、固めたもの。
- カカオバター:カカオ豆は55%もの脂肪分を含みます。カカオマスからこれを分離した脂肪分をカカオバター、もしくはココアバターと呼びます。
- ココアケーキ:カカオマスから脂肪分(ココアバター)を取り除いた残りを固めたものが、ココアケーキと呼ばれ、ココアやチョコレートの原料となります。
- ココアパウダー:ココアケーキを粉砕したものがココアパウダー。お湯に溶かせばいわゆるココアになります。
- チョコレート:カカオマス・カカオバターに砂糖やミルクを加えて固めたもの。
またカカオニブを取り出した後の殻は、カカオ茶として再利用されます。
香りはチョコなのに、味がほうじ茶みたいと不思議な感覚を味わえるみたいですよ(≧▽≦)
ホワイトチョコレート・ビターチョコレート・ミルクチョコレートの違い
さて、カカオ豆は最終的にカカオバターとカカオマスに分類されました。
チョコレートを作る過程ではこれに、砂糖とミルクを加え成型していくこととなります。
この時使う材料によって、代表的な3つのチョコレートに分類されていきます。
ミルクチョコレート
一番一般的なチョコレート、口当たりよくあま~いチョコレートですね。
ミルクチョコレートは上で紹介した4つの材料すべてが入っているチョコになります。
ホワイトチョコレート
真っ白なチョコレート。これにはカカオマスが入っていません。
カカオバターと砂糖、ミルクで作られるホワイトチョコは苦みがなく優しい味わいになります。
ビターチョコレート
ビターチョコは、ミルクが入っていません。カカオ本来の苦みが強調される味わいになります。
広告→:カカオ豆ときび砂糖だけで作られてチョコレート【Dandelion Chocolate】
家庭でも作れる!カカオから作る。ホントの手作りチョコレート
もうすぐバレンタインデー。
この思いを、手作りチョコで…と考えて市販のチョコを溶かそうとしているそこのあなた!
ちょぉ~っと待った。
本当の手作りなら、『カカオ豆』から作らなくちゃ(≧▽≦)
さすがに、カカオ豆の栽培から始めていたら、いつになるかわからないから、今回はカカオ豆は市販の醗酵済みのものを使用しましょう。
さて、さっそく始めます。
用意するもの
- カカオ豆 100~200g
- 砂糖 お好みで
- すりこぎ、もしくはフードプロセッサー
- フライパン、もしくはオーブン
滑らかなチョコを作るにはどれだけ細かくすりつぶせるかが重要。
カカオは脂肪分が多いので、フードプロセッサーにもかなり負荷がかかるので、休憩をはさみながらモーターが壊れないように作業しましょう。
肝物の粉砕に定評のある「NEWよめっこさん」というフードプロセッサーが強力で、かなり滑らかなカカオマスを作れるようです。
手作りチョコレートの作成手順
1、ロースト
購入した豆を加熱することで香りを引き立てます。
フライパンで10~20分しっかり炒るか、予熱したオーブンで120度、30分加熱します。
フライパンで炒る場合は、焦げると苦みが強くなるので注意が必要です。
2、殻剥き
ローストした豆は余熱をとったら皮をむいていきます。
むいた殻はお茶にして飲むこともできます。(カカオティ)
お茶に利用するつもりがある場合はローストする前にしっかり洗っておきましょう。
3、粉砕
フードプロセッサーがない場合は頑張ってすりこぎでつぶしましょう。
ひたすらつぶしていると次第にペースト状に変わっていきます。
ここで、どれだけ粒子を細かくできるかが、チョコレートの滑らかさにかかわってきます。
市販のチョコは半日~数日間もの間、専用の機械で舌にざらつきを感じなくなるまでこの作業を続けるそうです(;゚Д゚)
4、砂糖を投入
このままでは苦くて食べれたものではない。まさにカカオ100%。
甘みを出すために、砂糖を投入。
砂糖の量はお好みで。100gあたり30gの砂糖を入れるとカカオ約70%チョコレートになります。
通常の市販チョコは40~50%が砂糖です。チョコレートが甘いわけが分かりますね(^_^;)
5、固める
型に入れて冷やせば完成!
市販チョコを溶かしてチョコづくりをしたことがある方なら知っていると思うが、チョコレートに含まれるカカオバターは温度調整をしながら固める必要がある。
一気に冷やすと、バターが偏って結晶化することで見た目も、口当たりも悪くなり、さらに常温で溶けやすくなります。
きちんと作るなら、50度で湯煎→冷水で27~25度に下げる→湯煎で30度に戻すという温度調節(テンパリング)を行いましょう。
6、完成
固まったら完成です。
どうしても市販のチョコレートほどの滑らかさにはできないけど、自分の手で豆からチョコを作れるって結構感動ものだよね!
ぜひチャレンジしてみて(≧▽≦)
まとめ
今回は、植物としてのカカオを見かけない理由を説明しました。
そんな難しい栽培にチャレンジしている、沖縄の国産カカオには頑張ってもらいたいですね。
バレンタインに思いを伝えようとしているあなたのことも、もちろん応援していますよヾ(≧▽≦)ノ
チョコと一緒に「チョコの香りのする植物」をプレゼントしてみるのも面白いかも。
過去の記事も参考にしてくださいね。
では、みなさま、よい園楽を~~~ヾ(≧▽≦)ノ
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