花言葉は「私にキスをして!」生命力の象徴”ヤドリギ”の実を食べてみた!
真冬、
落葉樹が葉を落とし枝だけになった中、大きな木のところどころに残る、丸い緑の葉の塊。
一見すると鳥の巣のようですが、これも立派な植物。
実は、葉を落とした落葉樹に寄生している『ヤドリギ』と呼ばれる寄生植物なんです(゚Д゚)ノ
今回は、謎がいっぱい、不思議な寄生植物『ヤドリギ』について紹介します(≧▽≦)
目次(*´▽`*)
クリスマスツリーに飾られた「ヤドリギの伝説」
冬、他の植物が葉を落とし休眠しても、青々とした葉をたたえ実をつけるヤドリギは、生命力の象徴とされていました。
ヤドリギの枝はクリスマスの飾りとしても利用され、ヨーロッパでは、
- 飾られたヤドリギの下では、男性が女性にキスをしてもいい
- ヤドリギの下では女性は男性からのキスを拒否しない
といわれています。
そんなことから、花言葉も「私にキスをして」(*´ω`)
映画ハリーポッターで、ハリーがチョウにキスをしたシーンでもヤドリギが飾られていましたね(*´ω`)
日本にも自生するヤドリギ
クリスマスに関わる植物は色々あるけど、その中でもヤドリギは特殊。
海外で飾られているヤドリギは西洋ヤドリギ(学名: Viscum album )と言い、実は純白。
近縁種は、日本にも多く自生していて、ヤドリギ(学名:Viscum album subsp. coloratum)と呼ばれ、実の色が淡い黄色~オレンジ色であることで区別できます。
春から夏にかけては目立たないが、冬になると落葉した木に丸く緑の玉状に残った姿が目立つようになります。
木々が葉を落とした中でも、青々と茂り実をつけることから、ヨーロッパでは古くから『神聖な幸福をもたらす木』と信仰されてきました。
生命力の象徴として土着信仰の対象となっていた『ヤドリギ』は、そのあと入ってきたキリスト教に取り入れられ、クリスマスの飾りとしても飾られるようになりました。
生命力の象徴としたのは日本でも同じ。
万葉集には、大伴家持が新年にヤドリギを頭にさし、千年の栄を願ったという歌が詠まれている。
古くから知られているヤドリギだけど、
「うちの庭にヤドリギ植えてるんだぜ~(`・ω・´)」という方は少ないんじゃないでしょうか。
それは、ヤドリギの特殊な生体のため、普通に育てることが非常に難しい木だからなんです(=゚ω゚)ノ
ーークリスマスに意関連した植物リンクーー
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ヤドリギは半寄生植物
分類によって若干変更されるが、一般的にはヤドリギ科ヤドリギ属に分類される。
欧米で飾られるのはセイヨウヤドリギで実が白い。
日本のヤドリギは亜種(ほぼほぼおんなじだけど、地域差が出てるねって程度の違い)とされ実が黄色~橙色に染まるのが特徴。
この科に分類される種はどれも半寄生植物。
半寄生植物とは?
”寄生”ではなく、”半寄生”と呼ばれるのは、自分でも葉緑素で光合成をおこなっているから。
ラフレシアやナンバンギセルのように、宿主からすべての栄養を奪うのではなく自らも光合成で栄養を作り出すことができる。
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ただ、根はないので、寄生するエノキやナラなどの雑木から水分と栄養を拝借する必要がある。
ヤドリギは常緑樹で冬も落葉しないから、寄生先の木が冬に落葉するとよく目立つようになります。
この、「冬でも青々として茂る」姿に生命力を感じクリスマスの縁起植物として選ばれたと言われています。
生命の象徴とされた理由はもう一つ説もあるんだけど、これはちょっとおとなの話(●´ω`●)
あとでその答えがわかります。
お庭では育たないヤドリギ
庭に植えている話を聞かないのは、普通に土に植えてもヤドリギは育たないから。
庭の木に人工的に寄生させれば育てることは可能だけど、ヤドリギってすごく成長が遅い!
1年で一節しか育たないとも言われている。そんなものだからわざわざ誰も育てたりしない。花屋さんに並ぶこともかなり少ないです。
ヤドリギの実を食べてみよう!
とは言っても、なかなかお目にかかることの少ないヤドリギ。
冬の山に行けば、落葉した木の枝に球状に育ったヤドリギを見つけることはできるだろうけど、どれも非常に高い位置にあるから実を取るのは大変(*_*)
切花で販売されるヤドリギも、山から切り出しているものがほぼ100%。
冬の山に入って木を登って取ってこなくちゃいけないから高価なんですね('Д')
実は毒があった!ヤドリギの実
2019年12月24日 追記
ヤドリギについてみていくとどうやら葉や茎に毒があるらしい(*_*)
詳しい表記は見つからなかったが、全体に毒素を含むようなので、多少は実にも毒が含まれる可能性があります。
大人が一粒二粒食べる分には問題ないようですが(自分で人体実験済み)子供などは何らかの症状が出る場合があります。
味見する場合も自己責任でお願いしますね(*_*;
薬としても利用されるようで、中国では葉を乾燥させたものを、抗炎症や免疫調整に利用するそうです。
実についてはよくわかりませんでしたが、鳥も食べるのでおそらく果肉には毒素はないか、あっても微量で、種子の中に高濃度の毒素が含まれる可能性があります。(通常はそのまま糞として出されるので影響はない)
危険性があるので、かみ砕いたりはしないほうがよいでしょう。
では、「ヤドリギの実、食べてみた」続きをどうぞ↓(^^♪
早速ヤドリギの実を実食!
今日はたまたま手近なところに実付きのヤドリギがあったから一粒だけ拝借してみました。
日本のヤドリギの中でも比較的色が濃い実ですね。
毒はなさそうなので早速食べてみた(実は毒があったらしい(*_*;)
いっただっきまーす!
ヤドリギのお味は?
口に入れるとぷにぷにで柔らかい。
歯で噛んで薄皮の中の果汁を味わう。
「あま~い!(≧◇≦)」
これは結構甘い。
想像以上に美味しかった。
中心に結構大きい種が入っているから食べる部分は殆ど無いけど、甘みを楽しむには十分。
お庭にあったら子供がおやつにつまむかも。
しかし、ヤドリギの実に異変が!
「ん?んんんん?」
しかし、なんだかおかしい。
口の中がネチョネチョする(; ・`д・´)
このまま飲み込むのには不安を感じ、吐き出すことに、、、、しかし出ない!!なんだこれは?!
ペッペッと吐き出すも歯にへばりついてなかなか出てこない!
ま、まさかこのまま私の口の中に寄生するつもりでは(◎_◎;)?!
なんとか吐き出した種は写真の通り糸を引いています。
この「激しく粘性の高い果肉」がへばりついてなかなか取れない原因だった!
実はこのベトベトが、ヤドリギが繁殖するのに非常に重要なんです。
鳥のお尻にくっつく!ヤドリギの生きる知恵。
ヤドリギは落葉樹の高い位置に寄生し、宿主が落葉する冬に実をつける。
隠すものがないので、この実はよく目立ちます。
餌が乏しいこの時期。
鳥たちにはさぞかし美味しい食事に見えることでしょう。
しかもかなり甘い。栄養価も豊富なのだろう。
鳥は人間と違って口で噛まないから丸呑みしてお腹の中へ、そこで消化されるわけだが、種とその周囲のベトベトは消化されないままお尻から排出される。
お尻に種がついたまま鳥は飛ぶ!
しかし!ベトベトが残ったままの種は鳥のお尻にくっついたままなかなか取れない!
さっき食べたときに口の中からなかなか取れなかったみたいに、ヤドリギの種は鳥のお尻にくっついたまま飛んでいきます。
鳥としてもいつまでもお尻にベトベトしたものをつけているのは気持ちが悪い(*_*;
トイレットペーパーで拭き取るってわけにも行かない鳥は、適当な枝に止まって枝にお尻をこすりつけて種を落とそうとします。
ヤドリギはこれを狙っていた!
鳥によって種は遠くに運ばれ、高い木の上の適当な枝に鳥がこすりつけて置いていってくれる。
種は粘性のある果肉で枝に張り付き、種が枝に寄生根を伸ばし新たな株がそこに生まれる。
実の中に入っていた「ヤドリギの種」
すごいシステム(゚Д゚;)
どうやってこの生活サイクルを得たのか?本当に不思議な植物です。
ちなみにちなみに最初ちょこっと書いた「おとなの話」はこのベトベトが男性の「精液」に似てるからという説。そのため男性の象徴として用いられているそうです(*ノωノ)
クリスマスは生命の誕生を祈る祭りでもあるから、生命誕生を連想させるものが色々と取り入れられているのですね(≧▽≦)
クリスマスの意味
メインカラーである赤と緑。
これは血液と新緑。
命のもとである血の色と、寒い冬でも生命の息吹を感じる緑をイメージさせる植物が選ばれた。
赤い実は女性を象徴し、ヤドリギは男性の象徴とされ、最初に書いた「ヤドリギの下では男性が女性にキスをしてもよい」という話につながる。
クリスマスは生命の復活を祈る儀式
男性と女性の結びつき→新たな命の誕生とつながるわけだから、クリスマスに恋人たちがイチャイチャするのは歴史的にも正しいことなんです(;^ω^)
この「ヤドリギの下でキス」は、キスのたびにその実をひとつずつ外し、すべてなくなったらキスすることはできないというルールらしい。
もっとも、日本でいきなりキスしたら訴えられるのでご注意。
ヤドリギの下でも言い訳にはなりませんよ(;^ω^)
では、よい園楽を~(。・ω・)ノ゙メリークリスマ~ス!
参考文献 :
朝日新聞社 植物と行事 湯浅浩史 著
朝日新聞社 花おりおり 湯浅浩史・矢野勇 著
“花言葉は「私にキスをして!」生命力の象徴”ヤドリギ”の実を食べてみた!” に対して6件のコメントがあります。