バラを襲う不治の病「根頭癌腫病」
バラの根元にこぶ状の塊りを発見したら……残念ながら手遅れです(-_-;)
根頭癌腫病は不治の病。
完治は現代科学では不可能なのです。
とはいえ、大事なバラがそのまま死んでいくのは悲しいこと。
今回はロザリアンの大敵「根頭癌腫病」を詳しく理解し、予防。
そして罹病株の延命についてまとめていきたいと思います(゚Д゚)ノ
目次(*´▽`*)
敵を知る! 根頭癌腫病 とはどんな病気なのか?
癌腫病の名前の通り、植物のガンです(>_<)
発症した株は部分的に異常な細胞分裂を起こし”いぼ状”のかたまりを、主に地際の根に発生します。
この病気は植物の傷から細菌が侵入しその部分をガン化させていく恐ろしい病気。
バラは接ぎ木部分などから入り込むことが多く、株元や根に発生することが多い。
癌腫病はバラに限らず様々な植物でも発生する可能性があるが、特にバラ科植物(リンゴやモモ、など桜など)に発生が多いです。
根元だけではなく、菌が侵入すれば枝など地上部の部位でも癌腫が発生することがあります。根っこから植物内まで細菌が回ることはまれですが、鋏についた細菌が剪定の切り口から感染することもあるので、剪定した器具は罹病株ではなくても、植物ごとに消毒してから使用するのが安全です(>_<)
バラに根頭がん腫病を引き起す細菌は リゾビウム Rhizobium radiobacter (旧名、アグロバクテリウム:Agrobacterium tumefaciens ) といい、世界中あらゆる土壌に潜んでいる土壌病原菌です。
一度発生した土壌には特に細菌が多く、 宿主植物が無くても そのまま数年間は土の中で生存し続けるので、同じ場所にバラを植えないことも重要です。 古いコブの組織片なども感染源になります。しっかり取り除きましょう。
しかし、土の中から完全にこの細菌を退治することは難しい。感染させないよう予防を行いましょう(゚Д゚)ノ
「根頭癌腫病」感染の仕組み
「根頭癌腫病」が不治の病といわれる理由。それはこの細菌が植物の遺伝子を改変して侵食する病気だからです(゚Д゚;)
土中にある癌腫病細菌は植物の傷を見つけるとその中に入り込み、植物細胞の核ゲノム内の染色体(生物の設計図)に自らの体内で作った 植物ホルモン活性を持つ DNAを組み込みます。
このDNAが組み込まれた細胞は異常な成長ホルモンの分泌で細胞がガン化して肥大します。これが外部から見るとこぶのように見える正体(;'∀')
細菌はこのこぶの中で栄養を吸収し増殖を繰り返します(*_*;
癌腫は異常な成長ホルモンを分泌するためその一部が地上部の植物体にも影響を与え、癌腫ができたバラは一時的に生育が盛んになることがあります。しかし、次第に根がガン化して栄養供給が滞ることで最終的には枯死してしまうのです(◎_◎;)
根頭癌腫病が不治の病である理由
根頭癌腫病は細胞内にガン化の遺伝子が組み込まれています。なので、細菌を殺してもガン化は止まらず、肥大を続けます。
そのため完治が非常に難しい病気となっているのです(゚Д゚)ノ
ですが、このガン化した細胞も植物そのものの免疫で植物全体に回ることはまれで、感染した部位周辺が侵されるにとどまることが多いようです。そのため根の周り、接ぎ木部位周辺の発生が多いわけ('Д')
逆に言えばガン化した細胞を大きめに切除すれば、回復の可能性もあるということです。
根頭癌腫病にかかりやすい環境
根頭癌腫病は水はけの悪い土壌で発生が多いといわれています。これは根頭癌腫病細菌が水があったほうが生存しやすく、植物に感染もしやすいからだと考えられます。できるだけ水はけよい土に改善し悪い細菌が土にとどまらないよう土壌改良を行うのが予防の第一歩かもしれないですね(*'▽')
根頭癌腫病の薬剤
発生してしまった根頭癌腫病の治療薬は存在しないが、予防薬はあります。
微生物を使用した農薬で最近の侵入を防いで癌腫を予防します(≧▽≦)
しかし、ネットでもほとんど販売がなく、お花屋さんやホームセンターでも販売がない( ;∀;)
しかも有効期限が3ヶ月と短く、一般家庭で使用するのはハードルが高そうです。薬で防ぐことはあきらめ、環境改善で予防するしかなさそうです(。-`ω-)
根頭癌腫病は予防が大事!
根頭癌腫病にかからないようにすることがいかに大事かわかっていただけましたか?もう一度予防のポイントをまとめておきます(゚Д゚)ノ
- 土壌は水はけよく改良する
- 病気の出た土は使わない
- 罹病株で使ったはさみなど器具の消毒
細菌はどこからでも感染するので十分注意しましょう。はさみはライターなどであぶることで熱殺菌することができますよ。
土壌消毒は熱殺菌が有効
50度以上になると根頭癌腫病細菌も死滅するといわれています。感染土壌は薄く広げて熱湯をかけるか、黒いビニール袋に入れて真夏の直射日光化で熱殺菌しましょう。そのあとも念のためバラ科植物以外の土として使用するようにしましょう。
善玉菌を増やして抑制
メーカーとして根頭癌腫病に効果があるとはうたっていませんが、土壌に有用細菌を繁殖させることで相対的に根頭癌腫病細菌の発生を抑えることができると考えられます。バラの菌体資材『菌の黒汁ローゼス』を土壌にまいて土壌の細菌環境をととのえることで予防に効果があると考えられます。
茶色いボトルも中身は同じなので、どちらを利用しても同じです(≧▽≦)
「根頭癌腫病」罹病株の管理
植物病気の本などを読むと、「かかってしまった株は抜き取って処分する」としか書かれていない本も多いが、すぐに枯れてしまうということはない。せっかく大事に育てたバラ。ここでは病気を発症してしまった株の管理について紹介します。
株は掘り上げて鉢で隔離
そのままでは土壌の汚染が進むので、掘り上げて鉢栽培にします。癌腫の幹部は大きく取り除いておきましょう。
そして植わっていた場所の土壌は殺菌するか、その場所にはバラ科植物を植えないように注意です(゚Д゚)ノ
また、その株を切った鋏などの器具でほかのバラを切らないことも重要です。
こういった処置が面倒、難しそうな場合は抜き取った株は処分した方がいいかもしれません。
根頭癌腫病を切り取った後の処理
根頭癌腫病を発症する細菌はそれほど広く移動することは少ないといわれているのでコブの周辺を大きく切除します。
そのうえで周辺に広がっている可能性のある細菌も退治しておきましょう。最近は50度以上で死滅するといわれているので患部をはんだごてで熱消毒します。これで患部周囲の細菌を退治するんです(゚Д゚)ノ
そのうえで抗生物質を溶かした液に根をつけておくとさらに安心。抗生物質農薬は住友化学園芸の「ヤシマストマイ液剤20」が比較的購入しやすいので、こちらを薄めた液に根を1時間ほど浸して鉢上げしましょう。
うまく数年間再発しなければ、また地植えに戻しても問題はないと思われます。
まとめ
根頭癌腫病について理解してもらえましたか?
病気になるのも恐ろしいが、その感染が広がるのはもっと恐ろしい(◎_◎;)
感染が心配な場合は処分した方が安全かもしれません。ですが、かわいいバラをむげに処分したくない。そんな方ははんだごてによる熱殺菌と抗生物質農薬を利用してみてください。
では、みなさまよい園楽を~(。・ω・)ノ゙
“バラを襲う不治の病「根頭癌腫病」” に対して2件のコメントがあります。