名前はクズだが屑じゃない!有用植物。グリーンモンスターの異名を持つ『葛』~秋の七草3~
日本の秋を象徴する植物といえば何を思い浮かべますか?
日本には古来から「秋といえばコレ!」と決められた植物が存在します。
万葉の時代から日本人に愛されてきた『秋』を代表する植物『秋の七草』
さ参考リンク→:秋の七草・春の七草、違いと覚え方。
はぎのはな、おばな、くずばな、なでしこのはな、おみなえし、また、ふじばかま、あさがおのはな
(山上憶良
万葉集 一五三八 巻八)
最初の萩(ハギ)、尾花(ススキ)はわかる。
しかし、葛(クズ)といえば、退治するのが厄介なつる性の雑草というイメージしかないかもしれない。
でもこれが、意外と可愛らしい花を咲かせるんです。
目次(*´▽`*)
意外と素敵な葛(クズ)の花
これが葛の花。
色合いも素敵ですね(≧▽≦)
でも、ほとんど見たことないと思います。
なぜなら、大量に生い茂る葉の上に咲くから(^_^;)
そのため、なかなか地上からは見ることができない花なんです。
花の時期もそれほど長くないので、花を観賞するのはなかなか難しいかもしれない。
でも運よく近くで葛の花を観察することができたらその香りも嗅いでほしい。
花は美しいだけではなくワインの香りがするそうだ。
残念ながら私はまだ香りを嗅いだことはない(。-`ω-)
万葉の時代の日本人はが季節を代表する花に選んだのもわかる気がしますね。
唯一園芸店で販売されない、秋の七草
秋の七草はどれも季節を感じる美しい花を持つのだから、もちろんお花屋さんで購入することが可能。
だけど、クズだけは販売しているところを見たことはない。
庭に植えたら大変!家を飲み込む勢いで育つクズ
セイタカアワダチソウや、セイヨウタンポポのように日本に帰化し勢力を拡大している植物は多い。
そんな中で、逆に海外に導入され大暴れしているのが葛だ。
葛はアメリカで土手の土留めとして導入されたが、そんなところではおとなしくしてるはずもなく、今では各地に広がり「グリーンモンスター」の名で恐れられている厄介者に成長。
電信柱から壁まですご い勢いで多い尽くすクズは駆除も大変。
こんな現状…もう何が何だかわからない(*_*;
間違っても「お庭で育てよう」とか思ってはいけません。お庭どころか家丸ごとクズのツタに飲み込まれてしまうかもしれませんよ!
クズってどんな植物?
ところで、このクズ。どんな植物なのでしょう?
葛(クズ)はマメ科クズ属の多年草。学名Pueraria montana
つるの成長力はかなり早く、適時処理をしないと樹木を飲み込んで光を奪い枯らしてしまうこともあります。
電信柱などにも上ってしまうので、以前はつる返しが使われてきました。
キャップの上半分が半透明で、光を通すので登ってきたつるは、光を求めてキャップの中で伸び続けるけど、それ以上伸びることができないとい装置なのです(≧▽≦)
普通のつるならこれで十分防ぐことができた。しかし、クズは違った!!
自慢のすごい成長力でキャップの中を自分の葉で覆いつくし、光がさえぎられると再びキャップの外側に伸びだし、キャップを超えてその先のワイヤーを上り始めるんです!
もうね、繁殖力と伸びが半端ないの(^_^;)
日本人はさらなる防御策を編み出した。
それがこちら↓
こんなの見たことありますか? 電柱を支えるワイヤーの途中に太い筒がついている。
実は葛のつるは一定以上太いものには巻き付くことができない。
その習性を利用し、細いワイヤーに太い筒を付けることで電信柱が侵食されるのを防いでいるんです。
よく考えたものだ(;''∀'')
クズ大繁殖の秘密に迫る!
しかしながら、なんで葛はこんなにも成長できるのか?
一つは前回のハギと同じく、マメ科特有の「根粒菌」の存在。
栄養不足の土地でも自給自足で窒素を合成できるからいくらでも成長できる。
しかもつるの特性を生かし、日当たりの良い場所までつるを伸ばし太陽に当たれば大繁殖するのだから、悪条件でも自力で何とかしてしまうすごい奴だ(;´・ω・)
大繁栄の秘密はクズの根にもある。
地下には大きいものでは長さ1.5m、直径20㎝にもなる大きな「塊茎」を持ちます。
これが漢方などで言う「葛根」風邪薬の「葛根湯」はこの葛根を粉にしたものなんです。
そのたくわえのおかげで、地上部を切られても、あっという間に再生ができるんです。
それだけのエネルギーを蓄えているのだからその塊茎に秘められたパワーはすさまじく、葛根湯は今でも風邪薬として実用され続けています。
漢方薬として人気。私も風邪の時は主に葛根湯です(^^♪
クズの根からはスイーツも作られる
そして、忘れてはいけないのが「葛もち」「葛きり」(*´▽`*)
現在はジャガイモなどのでんぷんから作られることも多い「葛もち」。
だが本来は葛からとった「葛粉」を使用するのが基本。
食べ比べればわかるけど、滑らかさと透明感が全然違う(゚Д゚)ノ
ぜひ食べ比べてみて!
暑さに負けない!クズの秘密
巨大な葉をつけ10m以上にもつるを伸ばす”葛”葉が大きいため真夏の昼は葉から蒸散される水の量も大量!
夏の暑い時間帯の葛の葉見てみよう。
太陽に対して縦方向に並び強い日をよけているように見えます。
実は葛、光の強さによって葉の角度を調整しているんです。真夏の日中は太陽に対して縦方向に並び強い日差しを避け、夕方日が弱くなったら前面に日が当たるように広げる。
マメ科は葉を動かすのが得意なグループですね(*'▽')
まとめ
厄介なだけではない、葛の魅力。感じてもらえましたか?
ほかにも、日本書紀では神武天皇が土蜘蛛をとらえる際に葛の繊維で作った網を使ったなど、繊維としての有用性も高い。
花もきれいなんだけど結構上に咲くことが多いうえ、葉の割に小さく見つけるのが困難。
じっくり見ると結構きれいなのでぜひ探してみてくださいネ。
次はナデシコ!です。
では、よい園楽を~(。・ω・)ノ゙
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