虫よけハーブ『レモンユーカリ』ひょろひょろのびる原因と対策
ユーカリの仲間はたくさんあるけれど、その中でも最も香りのよいユーカリと言えば、やっぱり「レモンユーカリ」
一般的によく見かけるグニーユーカリと比べると、全く姿が違うから同じ仲間とは思えないかもしれない。
だけど、間違いなく同じユーカリの仲間なんです。
今回は、素晴らしく香りのいい、人気のユーカリ「レモンユーカリ」をご紹介します。
他のユーカリはコチラ→:花屋のユーカリとコアラの食べるユーカリは違う?葉の姿が変わるユーカリの不思議
人気のグニーユーカリ→:山火事が育てる植物、ユーカリ人気ナンバー1『グニー』を育てよう!
目次(*´▽`*)
レモンユーカリとは?学名・英名
レモンユーカリはオーストラリア北東部、クイーンズランド州原産のユーカリの一種。
学名は Corymbia citriodora(コロンビア・キトリオドラ)フトモモ科コロンビア属の常緑高木。
グニーなどのユーカリはeucalyptus(エウカリップス属=ユーカリ属)なので、正確には違うグループになります。
以前は同じユーカリ属だったが、近年は別属として分類するのが一般的。ただまだ研究によって意見が分かれるところなので今後変更があるかもしれません(゚Д゚)ノ
英語では英名”lemon-scentedgum”
レモンの香りのする(センテッド)ユーカリの木(ガム)という意味。
日本ではあまり大きい木は見ないけど、成長すると25~40m、現地では時に50mにもなる大木です。
幹は直立、小枝は下垂。
樹皮は生長するに従いうろこ状に剥離していき、サルスベリのようにすべすべで美しい白色にります。
ただ日本ではなかなか太くならないので、美しい幹肌をみるのはむずかしいかも(^_^;)
葉は長い披針形。全体に細かい毛がありゴワゴワしています。
触ったり、風で揺れるだけで強い香りがあります。
レモンユーカリの名前の由来は間違いなくその香り。
ちょっと触れるだけで驚くほどのレモンの香りが周囲に漂います。
でも、そんなに香りが強いのは小さい苗のうちだけなんですよ(。-`ω-)
レモンユーカリは育つと香りがしなくなる?
皆さんがよく見る「レモンユーカリ」はどちらですか?
似たような形ですが、よく見て見ましょう。
左の葉は色が濃く、つるんとした葉です。つき方もお尻の部分から葉柄が伸びています。
対して右の葉はやや色が薄く、ザラザラした手触り。葉には細かい毛が生えています。つき方も、葉の端ではなくサトイモの葉のように葉の裏面から葉柄が伸びます。
実はコレ、どちらも『レモンユーカリの葉』
ただし、つるんとした左の葉は『成葉』レモンユーカリ本来の大人の葉。
よく見かける右のザラザラした葉は『幼葉』レモンユーカリの赤ちゃんの葉なんです。
レモンユーカリの成葉 | レモンユーカリの幼葉 |
---|---|
濃い緑色 | 薄緑 |
つるりとして毛が無い | 全体に細かい毛が生える |
披針形で葉の端から葉柄 | 披針形で葉の裏から葉柄 |
触れるだけではほとんど香らない | 触れるだけで香る強い香り |
葉の形が変わる?ユーカリの仲間
実は、レモンユーカリに限らず、ほとんどすべてのユーカリの仲間は、苗が小さいときと大きく育った後では葉の形が違います。
よく見かける『グニーユーカリ』も丸い葉っぱのかわいい『ポポラスユーカリ』も木が大きく育つとすべて披針形の細長い葉の形に変わっていきます。
とくにレモンユーカリは幼葉のうちの方が、風に揺れるだけで香ってくるくらい揮発性が高い成分を発生します。
香りを楽しむのであれば、あまり大きく育てないほうが楽しめます。
本来40mにも育つ大木なので、鉢植えで育てているうちは2~3mに育っても成葉になることは少ない。
ですが、環境によっては1m程度でも葉の形が変わってくることがあるようです。
成葉はそのままではほとんど香りがしないが、もみほぐすことで幼葉と同じレモンの香りを楽しむことができる。
とはいえ、どうせなら触れるだけで香るくらい香りのいい幼葉が多い方がいい。
香りのいい若葉を伸ばしたいなら、成葉になった枝を切り戻すことで、また若葉は香りのいい幼葉に戻ることもあります。
枝ぶきはいいので思い切って切り戻してみましょう(=゚ω゚)ノ
レモンの香りがレモンより強い!レモンユーカリ
レモンユーカリの香りは、はっきりいってレモンよりもレモン!
他のユーカリに比べても揮発性が高く、触れるだけでも周囲にレモンの香りを漂わせます。
主成分は「シトロネラール」
これが虫よけ効果も発揮します。そのためレモンユーカリは栽培していてもほとんど害虫がつくことはないです。
レモンユーカリがあっても虫よけにはならない?
主成分のシトロネラールに虫よけ効果があるのは本当ですが、残念ながらレモンユーカリが一本あったからと言って、お庭に蚊が来なくなるとか、そこまでの効果はありません。
何十鉢ものレモンユーカリを庭中においておけば多少違うかもしれませんが、1本のレモンユーカリには自分の体につく虫を忌避させる程度の効果しかありません。
虫よけに使うなら、レモンユーカリの成分を抽出・凝縮させたアロマオイルを使用しましょう。
レモンユーカリの精油はなんとシトロネラールの含有率:70~85%ともいわれています。
簡単虫よけスプレーの作り方
レモンユーカリから抽出したオイルは、エッセンシャルオイルを取り扱っているお店や、ハーブショップなら大抵購入することが可能です。
用途はいろいろありますが、簡単な虫よけスプレーの作り方をご紹介。
- レモンユーカリの精油・無水アルコール・50ml程度のスプレー容器を用意。
- 無水アルコール5mlをビーカーなどの器に入れます。
- そこにレモンユーカリの精油を合計10滴加えた後よく混ぜましょう。
- スプレー瓶に移して、上から水45mlを加えます。
- 肌の露出しているところにスプレーしてください。
- シトロネラールの効果で虫を寄せ付けません。
レモンユーカリの利用法
生の木から精油をとるのは大変ですが、レモンユーカリの葉をそのまま利用することもできます。
1、ドライフワラーとして
形の良い葉は、そのままつるしておくだけでドライフラワーになります。
ドライフワラーはクラフトやアレンジに利用できます。
生葉に比べれば香りは少なくなりますが、触るとほんのりレモンの香りが残ります。
2,ハーブティ
レモンユーカリの葉はハーブティとしても利用可能。
ただし、ユーカリの葉だけをお湯に入れても色も味もほとんど出ません。
他のハーブティや、紅茶の香りづけに利用するくらい。
また、ユーカリの仲間は葉の中に『毒』を持ちます。1杯に付き葉1枚程度にとどめ飲みすぎには注意しましょう。
特に妊娠中の場合は口にしない方が安全です。
3、ハーブバスとして
成長のいいレモンユーカリの枝をたくさん剪定したら、その枝は束ねてお風呂にGO。
精油成分が染み出し、レモンの香りのお風呂が出来上がります。
レモンユーカリを育てよう!
香りがよく利用方法も色々、ハーブを取り扱っている園芸店なら簡単に手に入ります。
たいていは小さい苗で販売されるので、始めのうちは鉢植えでの栽培がおすすめ。
根が浅く、移植は好まないので、地植えする際は環境と場所をよく検討してから植え付けましょう。
レモンユーカリは乾燥がお好き、水はけのいい土で育てる
他のユーカリ同様、加湿を嫌うので、水はけのいい土に植えることが重要。
とはいっても、他のユーカリに比べると土への順応性は高いので、ある程度水はけのいい培養土(観葉植物用の土など)であれば問題ないです。
2割くらい小粒の日向土などを混ぜて水はけ改善を行うとよりいいでしょう。
余分な水が抜ける水はけの良さが重要です。
レモンユーカリの鉢
レモンユーカリは、40mを超える大木です。
生長も早くどんどんと伸びます。
あまり大きく育てたくない場合、肥料は与えず鉢の大きさも制限しながら栽培するのがおすすめです。
根をいじられるのはあまり好きではないので、基本的には一回りずつ大きいものに植え替えていきます。
ただし、鉢が大きすぎると水が乾かなくなります。ユーカリの加湿は厳禁。サイズは一回りずつ育てるようにしましょう。
おすすめの鉢はスリット鉢。
根が鉢の中に均等に広がり、余分な水も排出してくれます。
レモンユーカリに肥料はいらない?大きくしない育て方
レモンユーカリに限らず、栄養の乏しい砂漠のような土地に生えるユーカリの仲間は、ほとんど肥料を必要としません。
与えれば成長はよくなりますが、ひょろひょろと伸びるばかりになることも多いので、基本的には与えないくらいの気持ちで十分。
オーストラリアの植物は、普通の植物と違い”リン酸を嫌う”ものが多い。
一般的な元肥のマグアンプKなどは半分近くがリン酸なので、ユーカリには逆に有害になります。
比較的、リン酸含有が少ないものでも、窒素が多く含まれる(粉末の油かすなど)も貧弱に育つ原因になるのであまりお勧めではない。
そこで、与えるならばカリ分中心の肥料を与えるのがおすすめです。
カリ分の多く含まれる肥料は『ハイポネックス微粉』
よく見かける原液ではなく『微粉』です。
こちらはカリ分の配合量が非常に高く配合されているので株がしっかり育ちます。生育期の春から夏は10~20日に一度与えるといいでしょう。
また、オーストラリアの土壌は肥料成分は乏しくても、ミネラルなどの微量要素は多く含んでいます。
鉢植えで栽培していると、鉄分不足でクロロシス(葉が黄色くなる)になる場合があるので、メネデールやリキダスなどの微量要素を補給する活力剤の利用はおすすめです。
レモンユーカリがひょろひょろ、貧弱なひょろひょろユーカリどうする?
どんなに上手に育てても、日本では日照量と生育期間が短いためどうしてもひょろひょろとした苗に育ってしまいます。
幹を太くするには、できるだけしっかり日に当てて、株に合わせた大きさの鉢でじっくり育てるか、地植えで育てるしかありません。
伸びすぎたレモンユーカリは、生育がいいのなら春から夏の間にいつでも剪定可能です。
伸びすぎた枝をバッサリと切ってしまいましょう。下から新しい枝が出てきます。
基本的にはある程度の葉を残して剪定するのが安心ですが、伸びすぎてどうしようもないなら、葉がなくても幹を半分くらいまで切り戻すことも可能です。
ただし、木に勢いがないと芽吹かず枯れてしまう危険もあるので、ちょっと勇気がいりますね(^_^;)
芽吹きのいいユーカリはさらなる強剪定も可能です。
レモンユーカリの剪定。元気がいいならバッサリいこう!コピシングとは?
ユーカリの幹を地際から50㎝くらいでバッサリ切り戻すことをコピシング 「萌芽更新」 と言います。
適期としては3~4月。新芽が吹く前の時期に50㎝程度で切り戻すと、一か月程度で新しい芽がたくさん伸びてきます。
この時期は芽吹きのためのエネルギーが最も高いので成功確率が高いと言えます。
ちょっと勇気がいりますが、大きくなりすぎて管理できない。ツルツルの葉っぱばかりが出てきてしまった。小さく育てたいなどの場合には有効です。チャレンジしてみましょう。
レモンユーカリは寒さに弱い?
レモンユーカリはどのくらいの寒さに耐えられるのでしょうか?
耐寒性を測るUSDA:Hardiness Zoneでは、レモンユーカリは9~11と言われています。
参考リンク→:この植物はうちで冬越し出来るかな?耐寒性はUSDA 耐寒性ゾーンマップ(Hardiness Zone)で調べられるゾ!
耐寒性としては-6℃くらいまで。
ただし実際は温度よりも管理によって耐寒性は変わってきます。
一般的に土の中の水が乾燥しているほど耐寒性は高くなると言われています。
冬場は極力水やりを控え、乾燥気味に管理しましょう。
水やりする場合も温度の低下する夕方以降は控え、暖かい日中のうちに余分な水がなくなるような水やりを心がけましょう。
関東くらいならベランダで問題なく越冬している人も多いので、室内に取り込むほど弱くもありません。
万が一地上部が枯れてしまっても、根が生きていれば5月ごろに新芽が伸びてくるということもあります(゚д゚)!
あきらめずに様子を見てあげましょうね(≧▽≦)
レモンユーカリを挿し木で増やそう!
レモンユーカリは挿し木はしにくい植物です。
でも、全く不可能という訳ではないので、剪定した枝などがあればチャレンジしてみましょう。
適期は6月ごろ。しっかり固まった新芽10㎝ほどを挿し穂として利用します。
- 今年伸びた枝の十分固まった部分を10cmほど切る。
- 下葉を外し、メネデール100倍液に数時間浸ける。
- 湿らせておいた挿し木用の土(もしくは赤玉小粒単葉)にしっかりと挿す。
- 乾燥しないように水を与え、半日陰で管理。
- うまくいくと1~2ヶ月で根が伸びる。
- 根を傷めないように普通の土に植え替えて管理します。
発芽させるのは難しいけど、種の販売もありますよ。
まとめ
レモンの香りの強い「レモンユーカリ」
その特徴をまとめました。
寒さには弱いけど、ユーカリの中では比較的湿気の多い土壌にも適応があり、ほとんど虫もつかないので、放置しててもよく育ってくれるユーカリです。
香りも強く利用も多いので、育ててみてはいかがでしょう?
関東以西なら、冬い場に乾燥気味に管理することで屋外越冬も可能。
万が一地上部がチリチリになっても、根が生きていれば復活することもあるので気長に芽吹きを待ちましょう(^_^;)
では、皆様よい園楽を~~~~~(≧▽≦)