セイヨウリンゴの木を育てよう!あなたの知らない『和リンゴと姫リンゴ』秘密と育て方
今回ご紹介する植物は『リンゴ』
まあいまさらどんな果物であるかを説明するまでもないくらい一般的で、有名な果物。
日本人が好きな果物の中でも3本の指に入るだろう(≧▽≦)
リンゴはもちろん食べておいしいし、栄養価も高い。
だけど、それだではなく『育てても楽しい』植物でもあるんです。
数ある果物の中でも、育てやすく日本中広い地域で栽培が可能。
初めて、何か果物を植えてみたい人にもおすすめですよ。
では今回も、あなたの知らない『リンゴ』の秘密と育て方について解説していきます(≧▽≦)
目次(*´▽`*)
リンゴってどんな果物?
リンゴは、バラ科リンゴ属の落葉高木樹。学名はMalus domestica, (Malus pumila)
現在、八百屋さんで売られている『リンゴ』は正しくは「セイヨウリンゴ」と言い、明治時代にヨーロッパ系の品種が導入されて広がったものがほとんど。
じゃあ、普通のリンゴは?というと、実は日本には平安時代中期に中国からもたらされた『林檎(リンキ)』という栽培品種があったんです。
日本のリンゴとセイヨウリンゴ
鎌倉時代から盛んに栽培され、明治になるまではこの『林檎(リンキ)』から作られた品種が、日本では林檎(リンゴ)だった。
これらの品種は、今では和林檎(ワリンゴ)や地林檎(ジリンゴ)と呼ばれ、学名的にも現在のセイヨウリンゴとは別種、Malus asiaticaに分類されています。
実の大きさは3~5㎝ほどで、酸味が強い。江戸時代までは広く日本中で栽培があったみたいだ。
しかし、明治時代に大きくて美味しいセイヨウリンゴが入ってきたことで、栽培は一気に減少。今ではお供え用に少量生産される程度になってしまっている。
和林檎は、いわゆる姫リンゴとも別で、普通のリンゴと同じようにヘタの付け根がへこみ、普通のリンゴ(セイヨウリンゴ)と姫リンゴのちょうど中間のような形をしています。
以下のページに写真があるので確認してみてくださいね(=゚ω゚)ノ
http://malus.my.coocan.jp/apple_Crab/waringo_rinkin/waringo_rinkin.htm
セイヨウリンゴより成熟が早く、8月ごろには収穫できるため、青森を中心にお盆のお供え物として利用されています。
姫リンゴとクラブアップル
さて、小さいリンゴといえば、姫リンゴを思い浮かべますよね。
でも姫リンゴは、セイヨウリンゴともワリンゴとも違う分類になります。
姫リンゴは別名:犬林檎(イヌリンゴ)(学名:Malus prunifolia)とも呼ばれます。
『犬』とつく植物の特徴は、「役に立たない」「偽物の」といった意味合いを持つだけあって、酸味が強く通常は食用にはしません。
主に観賞用や盆栽として利用されます。
参考リンク→:名前を知れば植物がわかる?植物命名法、基本のキ
ややこしい『姫リンゴ』と『小さいリンゴ』
ここでややこしいのが、日本ではイヌリンゴ以外の小さいリンゴのことも『姫リンゴ』として呼ばれることがあること。
屋台の定番「りんご飴」で使われる小さなリンゴは、姫リンゴ(イヌリンゴ)ではなく、小さな品種『アルプス乙女』や、小ぶりのセイヨウリンゴ、一般的にクラブアップルと呼ばれる品種が使用されます。
イヌリンゴも食べれないことはないですが、酸味が強く、普通は食べません。
ターシャーの庭で有名な『クラブアップル』は小ぶりのリンゴで、様々な品種があり、やや酸味はあるものの、コンポートやジャム、りんご飴にすれば美味しく食べられるものが多いです。
ただ、日本では「小さいリンゴ=姫リンゴ=クラブアップル」のように表示されることが多いので、「イヌリンゴ」も一緒に扱われる場合があります。
食用には向かないので注意しましょう。
リンゴの原産地はどこ?
平安時代に日本に入ってきた「ワリンゴ」や観賞用の「イヌリンゴ」は中国から渡ってきた。
現在食用の中心の「セイヨウリンゴ」はヨーロッパから。
でも、そのどちらも大本となった原種は中央アジア、カザフスタン南部のMalus sieversii だったと考えられています。
現在、この品種は絶滅危惧種に指定されており、今後の新品種開発の遺伝情報として、アメリカを中心に育種に利用されています。
リンゴと人間のかかわり
リンゴは古くから人間が利用してきた果物で、スイスでは4000年前の遺跡からも化石となって出土しているほどの歴史があります。
聖書で、アダムとイブが食べた『知恵の実』もリンゴですよね(=゚ω゚)ノ
そして、ニュートンが万有引力を発見したのも、りんごが落ちるのを見て思いついたからだと言われています。
ニュートンのリンゴ
じつはこの、ニュートンのリンゴの子孫は日本でも見ることができます。
東京の小石川植物園には、このニュートンのリンゴの子孫があり見学することができます。
必ず落ちる!ニュートンのリンゴ
現在のリンゴは、完熟しても木から落ちることはありません。
しかし、ニュートンのリンゴは必ず落ちるんです。
このニュートンのリンゴ、正確には「フラワーオブケント」(Flower of Kent) という品種で、熟す前に木から落ちるという特徴があります。
味の方はというと、はっきり言ってまずい。人によっては「カスが口の中で残る」「砂のような食感」だと表現されている。
ただ、これは完熟前に木から落ちてしまうからのようで、追熟して完熟させれば美味しいという記述もあるが、本当のところはよくわからない。
もともと料理ようの品種で、生食はしないようだ。
でもそういわれると逆に食べてみたい気もするね(^_^;)
リンゴの種には毒がある?!
実は、りんごの種には毒があります!
林檎は、種子に青酸配糖体として知られるシアン化合物「アミグダリン」が少量含まれています。
とは言っても、種に毒があるのはそう珍しいことではなく、梅やアーモンド、プラムや桃など、バラ科の果物の多くは種子に同じような青酸配糖体を含みます。
少量食べるくらいは問題ないですが、大量摂取すると体に異常を起こす恐れがあるので、種は食べないようにしましょうね。
参考リンク→:アーモンドは家庭で栽培できる!お家で簡単定番ナッツ、アーモンドの育て方。
参考リンク→:花も実も楽しめる梅の木の育て方~実梅編~
赤いリンゴと青りんごの違いって何?
今では、八百屋さんにも多くの品種が並ぶリンゴですが、リンゴは大きく分けて「赤いリンゴ」と「青りんご」があります。
この二つの違いは、いったいなんでしょうか?
赤いリンゴも青りんごも、始めは同じ緑色。
これが成長してふくらんでいく過程で、リンゴの皮に含まれる成分に変化が訪れます。
林檎にはリンゴポリフェノールの一種、プロシアニジンがあり、赤いリンゴは日に当たることでこの成分が、赤い色を示すアントシアニンに変化していきます。
この変化は、日に当たることで起こるので、日が当たらない場所は緑のままです。
この性質を利用して、林檎にわざと日の当たらない部分を作って文字を描いた商品なども販売されていますね。
一方、青りんごはと言うと、日に当たってもアントシアニンへの変化が起こらないリンゴなんです。
成熟の過程は同じなので、赤いリンゴも青りんごも栄養価はほとんど変わりませんが、赤いリンゴにはアントシアニンが多く、青りんごには変化前のプロシアニジンが多いという違いがあります。
アントシアニンは果実を紫外線や外敵から守る効果があるので、栽培面では青りんごの方が一般的に栽培しにくいと言われています。
何を育てる?リンゴの品種の選び方。
さて、たかがリンゴ、されどリンゴ。
知らないことも多かったのではないでしょうか。
林檎について理解を深めたところで、今度はリンゴを育ててみましょう(≧▽≦)
いろいろなリンゴがあるけれど、あなたはどの品種を育てますか??
1本では実を付けない。リンゴの相性。
果物を育てる際に注意したいのが、自家不和合という性質。
これは、自分の花粉では実を膨らませないということ。
甘柿・プラム・栗・ナシ・ブルーベリーなど、果物には1本では実を付けないものが多い。
参考リンク→:プラムとスモモとプルーン何が違うの?
参考リンク→:シャキシャキ甘い日本梨・ねっとり甘い西洋ナシ
参考リンク→:甘柿・渋柿。でも糖度は同じ?甘柿なのに渋い原因教えます
リンゴも同じで、自分の花粉では実を付けることができません。
育てる場合、2品種別の品種を用意して、お互いに花粉をやり取りする必要があります。
ほとんどの品種はお互いに受粉可能なんだけど、血縁関係の近い品種(富士とアルプス乙女など)は受粉しづらいこともあるようだから、購入前によく確認しよう(-ω-)/
1本でも実を付ける。小型のリンゴたち
一般的に、小型のリンゴは1本でも実を付けるものが結構あります。
食用には向かないけど、盆栽の定番イヌリンゴ(姫リンゴ)
イヌリンゴよりは美味しい、ゴージャス。
セイヨウリンゴの代表「富士」とイヌリンゴの交雑から生まれたと言われている小型りんご「アルプス乙女」
これらのリンゴは1本でも実を付けることが可能。
美味しいリンゴではないけど、2本育てるのが難しければ検討してみるのもいいかも。
実は小型でも、木の大きさは普通のリンゴと同じで、数mまで大きく育つよ。
広い場所を用意してあげよう(・ω・)ノ
場所をとらない、横枝の出ないリンゴ「バレリーナツリー」
リンゴは育てるとなると、それなりの広い場所を必要とします。
広い場所は取れないけど、リンゴを育てたい!
そんな時にはこのバレリーナツリーが便利。
なんと、横枝が出ないんです。
細身で一直線に伸びた主軸にリンゴがポコポコみのる姿はカワ(・∀・)イイ!!
2品種そろえる必要はあるけど、場所は取らないので、鉢植えなどでも栽培できますよ。
代表的なリンゴの品種をご紹介
家庭菜園でも人気の代表的な品種をご紹介。
この中の品種はどれもお互いに受粉樹として利用できます。
(茨木農園リンゴ授粉適合リストを参考にしています)
富士
八百屋さんに並ぶ赤いリンゴは、ほぼすべてがこの「富士」
それもそのはず、日本の生産量のほぼ半分をこの富士が占めています。
美味しく育てやすいリンゴなので、迷ったら1本は富士にしておけば間違いないです。
津軽
富士に次いで日本での生産量が多いリンゴ。
肉質が密で多汁。酸度が低く強く甘みを感じる特徴があります。
王林
青りんごの代表種。
甘みが強く、独特の香りが人気。
家庭菜園ではきれいに作るのは難しいが、自宅で食べる分には問題ない。
紅玉
明治時代からある古い品種。
甘みはあるが、それ以上に酸味が強く生食には向かない。
だが、アップルパイなど加工用としてはピッタリで、今見直されている。
お店に並ばない新品種も・・・
せっかく自宅で作るのなら、まだ生産数が少なく、お店には並ばないような新品種を育てるのもいいかもしれないですよ。
道の駅などで、少量売られている珍しいリンゴを食べて、美味しかったらその苗木を探してみるのも楽しいかもしれません。
お庭で育てるなら矮性台木を使用した苗
リンゴの苗はほぼすべて、接ぎ木で作られています。
苗の値段はちょっと高いですが、矮性台木を使用している苗があれば、そちらを選ぶとコンパクトに育てることができます。
購入の際は注意してみましょう。
リンゴの育て方
リンゴの最大の産地は青森。日本の生産量の約半分は青森で作られています。
そのため、リンゴは寒い場所でなくては栽培できないと思われていますが、実は栽培範囲はかなり広い植物。
もちろん寒さにも強いが、北は北海道中部から、南は鹿児島県以北までと、日本中ほとんどどこでも栽培が可能な果物です。
やはりある程度寒さに当たる地域の方が栽培には向きますが、暖かい地方でも栽培にチャレンジしてみましょう(≧▽≦)
リンゴの好む環境
日当たりと風通しのいい場所を選びましょう。
日当たりは特に重要。
リンゴが赤くなるには日当たりが不可欠です。
リンゴの植え付け
植え付け適期は厳寒期を避けた秋~春。
お店で販売されるポットの苗なら、真夏・真冬を除けば基本的にいつでも植え付け可能。
植え付ける場所を大きめに耕し、たい肥(腐葉土)などを3~4割混ぜます。
土壌が酸性の場合は苦土石灰で中和も行っておきましょう。
リンゴの肥料は?
植え付け時に元肥として醗酵油かすなどの有機質肥料を直接根に当たらないようにあたえます。
すでに植えつけてあるリンゴには、収穫後のお礼肥えに即効性の化成肥料。
冬には元肥、兼寒肥として有機質肥料を、木の大きさに合わせて与えます。
冬に肥料を与えてあれば、春から秋までは追肥は不要。
リンゴは肥料吸収力が強いので、肥料が多いと枝が無駄に成長して花付き実付きが悪くなる場合があります(゚Д゚)ノ
リンゴの剪定
リンゴの剪定は、落葉期。12~2月までに行います。
リンゴは前年に伸びた枝の脇芽が伸びて、その先端に花芽がつくという育ち方をします。
1年目に伸びた枝は、先端を切り戻し脇芽を増やします。
2年~3年目の枝の短い脇芽にたくさんの花芽をつけるようになります。
壁のように育てるエスパリ仕立て
大きく育つリンゴですが、あきらめるのはまだ早い。
リンゴを狭いお庭でも栽培する仕立て方があります。
それが『エスパリエ仕立て』
枝を横に誘引して壁のように薄く育てる方法です。
この方法なら、日当たりさえよければ、狭いお庭でも生垣のようにリンゴを栽培することができます。
枝を横に広げることで樹勢を弱め、花付きをよくする効果もありますよ。
リンゴの開花後の管理
リンゴは実だけではなく、花もきれい(≧▽≦)
桜と同じバラ科だけあって、かわいらしい5枚花弁の白花。
濃いピンクの蕾が、開きながら薄くなり、開花すると白く変わります。
ほのかに甘い香りも楽しめます。
リンゴの摘花
リンゴは一つの芽から4~5の花を咲かせます。
力の分散を防ぐためにも、花は一芽一花に摘花しましょう。
また、枝の植え向きに咲く花も、結実時に袋掛けしにくいので外しておきます。
リンゴの人工授粉
お庭なら、ほっといても虫が花粉を運んでくれるが、確実に実を付けるなら人工授粉をしてあげましょう。
毛先の柔らかい筆などを使うとやりやすいですよ(^_-)-☆
リンゴの摘果
リンゴは結実率がいいので、たくさんの実がつきます。
ですが、木の力に不釣り合いなほど実を付けると、うまく育たないまま落果してしまう場合があります。
果実が肥大しているのを確認して、開花後1か月以内に、大玉なら葉が60枚に1果実。中玉なら40枚に1果実くらいになるように数を調整します。
リンゴに袋掛け
摘果が終わったリンゴは6月中旬までに袋掛けを行いましょう。
袋をかけることでシンクイムシなどの被害を抑えることができます。
実際は袋をかけない方が、着色もよくなり、食味や甘さも上がることが多いけれど、その分病害虫の被害も増えます。
袋をかけるだけで農薬の使用を抑えることができるので、リンゴ栽培するなら袋掛けをした方がいいでしょう。
袋は収穫1か月前には外し、日に当てて着色させましょう。
リンゴの病害虫
リンゴに限らず、甘い果物は虫も大好物。
病害虫を抑えるための殺虫殺菌は欠かせません。
生育期は月に一回程度、リンゴに使用できる農薬を、用法を守って使用しましょう。
リンゴトリビア
意外と知られていない、リンゴの豆知識をまとめました。
リンゴは冷やした方が甘い?!
リンゴの甘み成分は『果糖(フルクトース)』
この糖は、低温の方が甘みが強く感じるという性質を持っています。
食べる前には冷やした方が美味しく食べることができますよ(≧▽≦)
リンゴの蜜は甘くない?!
リンゴにたくさん『蜜』が入っていると甘い。そう思っていませんか?
じつはリンゴの蜜と呼ばれているものは、「ソルビトール」という糖質アルコールの一種。
このソルビトールが分解すると果糖やショ糖に変わって甘くなる。しかし、ソルビトールそのものは果糖の半分程度しか甘くないので、そこを食べても全然甘くない(;゚Д゚)
じゃあ、なぜ蜜入りリンゴは美味しいのかというと、もうソルビトールが分解する必要のないくらい完熟が進んでいるという証だからなんです。
ちょっとがっかりですね(^_^;)
リンゴ一個で医者いらず?!
リンゴは栄養価が高いだけではなく、りんごに含まれている食物繊維(ペクチン)とポリフェノールが体重と食欲のコントロールに重要な役割を果たしているという研究結果もあります。
リンゴで医者いらずは、迷信ではなく、しっかりとした化学的根拠もある事実のようです。
まとめ
みんな大好き!リンゴについてまとめてみました。
上手に育ては9月ごろには美味しいリンゴが収穫できるはず。
育てて楽しいし、観賞価値も高い。お庭でぜひ育てたい果樹です。
ぜひチャレンジしてみましょう(≧▽≦)
今回リンゴについて調べていたら、りんご飴の専門店があることを発見。
東京と大阪にお店があるみたい。近くに行ったら寄ってみたいですね(●´ω`●)
参考リンク→:りんご飴専門店 "ポムダムールトーキョー"
では、皆さんよい園楽を~~~(^_-)-☆
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