世界最強の毒草『ゲルセミウム・エレガンス』の恐怖
実は私たちの身の回りは『毒草』であふれています(;・∀・)
かぶれる程度のものから、人を死に至らしめるほどの強い毒まで様々。
有名なものではアヘンの原料「ケシ」や「大麻」がありますが、このブログで紹介した普通に栽培されている植物の中にもジギタリス・アセビ・ヒガンバナ・エンジェルストランペット・トリカブトなど、たくさんの毒草が存在します(*_*;
では、その中でも『最強の毒』を持つ植物って何なのでしょうか?
目次(*´▽`*)
葉っぱ3枚で死に至るゲルセミウムエレガンス
調べたところでは、最も毒性が強いと考えられている植物はゲルセミウム・エレガンス (学名: Gelsemium elegans) 。
名前は素敵だが、なかなかに恐ろしい植物だ(^_^;)
原生地はインドから中国の南部。
その毒性は昔から知られており、現地の少数部族の間では「シュア・ノーツア」食べると死ぬ、という意味で呼ばれている。
現地の住民は自殺用に隠し持ったり、猛獣を殺す罠に使われたりしたそうだ(゚Д゚;)。
猛獣もころりと死ぬ!
原生地の森には獰猛なトラなども存在するため、退治用の罠に使われたこともある。
ここで特別に、『トラでもイチコロ!猛毒トラップの作り方』を説明しよう(≧▽≦)
近所に猛獣がいてお困りの方はチャレンジしてほしい。
用意するものは簡単。
ゲルセミウム・エレガンスの葉を数枚と、餌用の小動物。
簡単ですねΣ(・ω・ノ)
- 小動物の腹を引き裂いて、中にゲルセミウムエレガンスの葉をたっぷり詰め込みます。
- それを猛獣が現れそうな場所に一晩転がしておくだけ!
小動物とともに、大量のゲルセミウムエレガンスの葉を食べた猛獣は体に毒が回り、コロリと退治されることでしょう。
いや~簡単(≧▽≦;)
ただし、退治した猛獣の肉を食べたりはできません。
ゲルセミウムエレガンスの毒は、体中に巡って消えることなく残りつづけます。
恐ろしい~(>_<)
トリカブトよりも強力な毒(;・∀・)
ゲルセミウム・エレガンスの毒はどのくらい強力なのか?
厚生労働省の毒性基準は致死量が5ミリグラム以下のものを『猛毒』と定義している。
ちなみに毒物の代表『青酸カリ』は4.4ミリグラム。
毒草の代表でもある『トリカブト』の主成分アコニチンは0.116ミリグラム。
けっこう長い間植物アルカロイドで最も毒性がたかいとされていた。
しかし、このゲルセミウム・エレガンスに含まれるゲルセミンという成分は、なんと致死量が0.05ミリグラム(;・∀・)
1円玉が1グラム、つまり1000ミリグラムだからその2万分の1。塵ほどの量で死んでしまう。
もちろん含有量が少なければ植物を触る程度は問題ないが、それでも恐ろしい(◎_◎;)
日本にも存在した!ゲルセミウム・エレガンス
日本に伝わったのはなんと、1200年も昔奈良時代のこと。
この時代、東大寺、正倉院に奉納された数々の宝物の中に、この世界最強の毒「ゲルセミウム・エレガンス」の根が漢方薬のひとつとして納められていた!
漢方薬名では「冶葛(やかつ)」と呼ばれ、猛毒であり内服は絶対に禁ずると記されていた。
長いことなんの植物かわからなかったが1996年千葉大学薬学部の調査でそれがゲルセミウムエレガンスであることを突き止めたのだという。
1200年たってもその毒成分が検出されるってスゴイ(゜_゜)
その多くが闇に消えた。世界最強の毒
ゲルセミウム・エレガンスこと「冶葛」は756年(天平勝宝8年)正倉院に奉納された。
その量は記録によると32斤。現在の重量では約14㎏。かなりの量といえます。
しかし、100年後の856年にはその量が2斤11両2分(約600g)しか残っていなかったという。
さらに、現代の残存する量は390g。
国宝ともいえる奉納品をいったい誰が、何の目的で持ち出したのか?!
これは今も謎のまま・・・
時代の中で謎の死を遂げた偉人の中には『ゲルセミウム・エレガンス』によって命を落とした人が結構いたのかもしれないですね('Д')
ゲルセミウム・エレガンスはどこで手に入る?
世界最強の毒を持つ植物、ちょっと見てみたいですよね?
もちろん悪用しちゃだめですよ(゚Д゚)ノ
残念ながら、日本で流通すようなことはほとんどないようです。
薬用植物園でも栽培しているところは稀。
日本新薬株式会社が持っている、山科植物資料館で栽培があったという情報もあるけど、現存しているかは不明。
中国南東部には自生地があるから、香港あたりに行けば野生で生えているところにであるえるかも?(^_^;)
エレガンスはダメでも、センペルビレンスなら手に入る?
国内でゲルセミウム・エレガンスを手に入れるのは難しそうだ。
しかし、ゲルセミウムの仲間は他にもある。
ゲルセミウムは、マチン科ゲルセミウム属の3~12mにもなるつる性植物。
ゲルセミウム属には3種が知られていて、エレガンスのほかは北アメリカからメキシコにかけて生息する、ゲルセミウム・センペルビレンスとゲルセミウム・ランキニ。
このうち、ゲルセミウム・センペルビレンスは以外にも普通のお花屋さんでも販売されているお花だったりします。
世界最強の毒草(の仲間)は町の花屋で買える?
『ゲルセミウム・センペルビレンス』なんて名前は聞いたことがない人でも、カロライナジャスミンといえば聞いたことがある人も多いのでは?
カロライナジャスミンとは?
ジャスミンとつくけど、ソケイ科のジャスミンとは全くの別物。
花色は黄色だし香りもジャスミンほどは強くない。
名前はアメリカ、カロライナ州のジャスミンってこと。
ゲルセミウム・エレガンス同様、常緑のつる性植物で黄色い花が咲く。
ジャスミンといえば「ジャスミンティ」としてお茶にしたりすることも多い植物。
最強の毒草であるゲルセミウム・エレガンスの親戚であるカロライナジャスミンも、もちろん『毒』('Д')
この勘違いから中毒を起こした事例もある。
絶対にジャスミンティなんかにしちゃだめだぞ(゚Д゚)ノ
参考リンク→:偽ジャスミン、いや毒ジャスミン!カロライナジャスミン
普通に扱う分には問題なし
「なんて危険な植物を販売してるんだ(゚Д゚)ノ」なんて、花屋さんに怒鳴り込まないでくださいね。
おなじゲルセミウム属ではありますが、カロライナジャスミンにはそこまでの強い毒性はない。
とはいえ、お茶にしたら死ぬ可能性があるくらいは危険です。絶対にやめましょう。
もちろん犯罪に使おうなんてことはできません。(^_^;)
まとめ
名前だけは結構有名になってきた世界最強の毒草『ゲルセミウム・エレガンス』これだけ知られればもう少しいろいろな情報があるかと思いましたが、写真などもあまり見つけられませんでした。
2011年の中国、2012年のロシアなどでこの植物を使った毒殺が企てられていたことなどからも、あまり詳しい情報を流さないようにしているのかもしれないですね(゜_゜)
これだけの強力な毒性を持ちながら、見た目は目立たない特徴の少ない容姿をしています。大繁殖するような植物ではないようですが、悪事に利用されたら怖いですよね(^_^;)
そんなわけで今回は写真少なめ。
紹介しているものも間違いがあるかもしれません。ご了承ください。
別に何かに使うわけではないですけど、『毒草』ってなんだかドキドキしますよね(≧▽≦)
では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙
参考図書
- 毒草大百科 増強版 奥井真司(データハウス)
- 毒草の誘惑 植松黎 (講談社)
猛毒であり無い服は絶対に禁ずると記されていた。
ここの意味がわかりません。
”内服”の誤植ですね。申し訳ありません。