花が咲かずにいきなり実がつく?不思議果樹「無花果イチジク」の秘密と育て方

無花果(イチジク)という果物を知っていますか?
漢字表記のように、枝に花が咲かないうちから実を付ける変わった果物です。
でも、花が咲かないのに実を付けるなんてことがあるのでしょうか?
6000年以上の栽培の歴史がありながら、謎の多いイチジク。
家庭果樹としても育てやすいイチジクについて紹介します。
目次(*´▽`*)
イチジクってどんな植物?
イチジクはクワ科イチジク属の落葉高木。学名: Ficus carica。
観葉植物を育てている方なら、学名のFicus (フィカス)という名前は聞いたことあるかもしれませんね(*'ω'*)
そうです、観葉植物として人気の”ゴムの木”の仲間。それらがフィカスです。
ハートの形の葉が人気のフィカス・ウンベラータや、沖縄のガジュマルなども同じ仲間。
だから、どちらも木が充実してくると小さなイチジクのような実を付けるんです。

イチジクの花はどこいった?
さて、ここで疑問になるのが「イチジクの花は咲かないの?」ということ。
この世の中花が咲かずに実をつけるような植物は存在しません(゚Д゚)ノ
もちろんイチジクにも花はあります。ではそれはどこか?
じつは見えている実だと思っていたものが、実は花だったんです!
不思議果樹「イチジクの花」
今まで『イチジクの実』と紹介してきたものが実は実であるとともに、花だったんです(゚Д゚)ノ
どこが花?と思われるかもしれませんね。では、イチジクを割ってみましょう。

こちらは完熟した実ですが、この中にある赤いぷつぷつしたもの。実はこれが全部『花』なんですよ!
どういうことかわからない?では図解で説明しましょうΣ(・ω・ノ)ノ!

元々はヒマワリみたいに小さな花が集まって咲く、集合花のようなものだったと考えられます。
それがいつの間にか花を包むように進化し、包まれた中で「開花」から「結実」まで行われるようになったのが『イチジクの仲間』なんです。
この花の構造を『花嚢(かのう)』といいます。
イチジクの授粉
普通、花は昆虫に花粉を運んでもらうために目立つように咲くのだが、イチジクは目立つどころか、外からは咲いているのかさえわからない花を咲かせます。
これは、不特定多数の虫に対してではなく、特定のパートナーだけが利用できるように花が作られているから。
イチジクはパートナーの虫との不思議な協力関係で成り立っているんです。
だから、パートナーの虫がいなくなってしまったらイチジクは子孫を残すことができない。
逆に花粉を媒介する虫にとっても、イチジクの実の中が幼虫を育てる”ゆりかご”となるため、イチジクが無くなったら子育てができない。
お互いに欠かすことのできないパートナーとして存在しているんです。
果物のイチジクにも虫が入ってる?
それでは、果物として利用するイチジクの中にも虫が入っているんでしょうか?
ご安心ください(*'▽')
果樹として利用されているイチジクは虫が入らなくても実がふくらむ『単為結果』という性質をもつものだけが利用されているので、虫に受粉を頼る必要はありません。
それに日本には、栽培イチジクとパートナーになっている存在の虫そのものがいないので、実の中から虫が出てくるようなことはないので安心してくださいね。
この単為結果のおかげで、イチジクは受粉樹も不要で、1本だけでも収穫することができるんです(≧▽≦)
イチジクの名前の由来は?

「いちじく」って名前も不思議ですよね(^_^;)
このいちじくという名前は、毎日1こずつ熟していく「一熟」から変化したという説があります。
また呼び方の別名として「南蛮柿(ナンバンカキ)なんて言うのもありますがほとんど使われていないですね(^_^;)
イチジクの育て方
品種によって耐寒性は違いがあるが、-6~-12度くらいまで耐えられるので、品種を選べば北海道でも栽培可能です。
受粉樹がなくても収穫できる果樹なので、家庭菜園でもおすすめ。鉢植えでコンパクトに仕立てることもできます。
苗木はホームセンターや園芸店でも販売されているから、お気に入りの品種を選びましょうΣ(・ω・ノ)ノ!
イチジクは6~7月に実を付ける「夏果専用種」と8月以降収穫になる「秋果専用種」、夏と秋両方の季節に実を付ける「夏秋兼用種」があります。
家庭菜園なら比較的コンパクトに育つ「秋果専用種」「夏秋兼用種」がおすすめ。
鉢植え栽培も可能です。
イチジクの品種
「桝井(ますい)ドーフィン」
夏秋兼用品種です。大きい物で200g程にもなる大果。
お店で販売されるのはほとんどがこのドーフィンで、国内で販売されるいちじくの約8割ともいわれています。
耐寒性はやや弱いが、南東北~九州くらいの地域で栽培可能です。
「蓬莱柿(ほうらいし)」
「在来種」や「日本いちじく」とも呼ばれます。秋果専用種。
平均サイズは60~100gくらいとやや小さめですが、非常に糖度が高くて甘い。
西日本で主に栽培されています。完熟果は凄く甘くておいしいのですが、完熟するとお尻が割れてくる性質があるので輸送に向かず、一般に流通するのは早採りしたものがおおい。
家庭菜園なら完熟の美味しい実を食べられますよ(≧▽≦)
ホワイトゼノア
耐寒性が強く、北海道南部でも栽培可能ないちじく。夏秋兼用種。
50~100gと小ぶりの果実は、果肉がしっかりしているので加工向きの品種。海外ではケーキ用の品種として利用されます。
果皮が薄いので完熟したものは皮ごと食べられます。
山形県では料理用に早採りしたものが特産品として販売されています。
ゼブラスイート
果実に白いストライプが入る珍しいイチジク。秋果兼用種。
果重は40~50g程とかなり小ぶりだけど糖度が高く、甘みと酸味のバランスが良い。
特徴はなんと言っても、名前の通りのストライプ模様。残念ながらこの模様、果実が熟すにしたがって薄くなっちゃいます(。-`ω-)
模様が消えた頃が食べ頃です。
お店にはまず出回らないので、家庭果樹だけの楽しみですよ。
バナーネ(ロングドゥート)
果実は250~350gの特大果!さらに糖度は20度を超えるほどとても甘い。
フランス生まれの世界最大級のイチジクです。夏秋兼用種ですが、特に大きい果実がなるのは夏です。
イチジクの土
葉が大きく、水を多く必要としますが、水はけの悪い場所は好みません。
水持ち良く水はけのよい肥沃な土地。
そして弱アルカリ性の土を好むので、植え付け1週間前に苦土石灰を100g/㎡入れて土を中和しておきます。
たい肥や腐葉土をしっかり施して、肥沃な土壌を作って植え付けます。
苗木は1年じゅう販売されていますが、一番の植え付け適期は落葉期の12~3月。ただし、若木は寒さに弱いので寒冷地や冷たい風の当たる地域では3~4月ごろに植え付けた方がいいかもしれません。
植えつけた苗は支柱を立てて株を支えわき枝を出すため、先端を切り詰めておきます。
イチジクの肥料
新枝を伸ばしながら成長するので、肥料はたくさん必要とする植物です。
12月に寒肥として有機質肥料を、2月に芽出し肥料として即効性のある化成肥料を与えます。
アルカリ性土壌を好むので寒肥の時期に石灰を毎年施すと生育がいいですよ(≧▽≦)。
イチジクの剪定

剪定は冬に行います。
秋専用種はすべての枝を2~3芽残して切り詰めます。
伸びた枝に秋実を付けます。
夏秋兼用種は、夏の実をとる枝は剪定を行いません。今ある枝に夏ごろ実を付けます。
夏の実を付けない枝は秋果種と同じように切るか、基から切り落として風通しよくしましょう。
いちじくは枝が枯れこみやすいので、芽と芽の間で切るようにしましょうΣ(・ω・ノ)ノ!
イチジクの病害虫
果物にしては病害虫の害は少ないので、家庭でも育てやすい(≧▽≦)

ただ、カミキリムシの幼虫だけは注意した方がいい。幹が柔らかいイチジクの木はカミキリムシの幼虫、テッポウムシによる害で枯れてしまうことすらあります。詳しくは過去の記事をご覧くださいね。
それ以外はほとんど手がかからないのでおススメです。
まとめ
花が咲かない果物「イチジク」
いきなりつく「果実」だと思っていたものは花でした(≧▽≦)
見れば見るほど不思議な果物。食べる前にその構造を観察するのも面白いですね。
キリスト教では知恵の実を食べたアダムとイブが、裸であることを恥ずかしくなって最初に股間を隠すのに使ったのがイチジクの葉だった。
古くから人間とかかわりの深い果物いちじく。
完熟果のほかにも、早どりしてケーキなどに調理して利用することも多い果物です。

栽培簡単誰でも実を付けさせることが可能です。チャレンジしてみましょう。
では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙
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