悪用厳禁!育てて良いケシ、悪いケシ

ケシ-(表紙)

この日本では育てるだけで逮捕される植物があります(; ・`д・´)

その一つが以前の記事にもまとめた「アサ(大麻)」そして、もう一種が「ケシ」です。

ケシからは麻薬である「アヘン」「ヘロイン」が作られることから日本では厳重に栽培が取り締まられています(゚Д゚)ノ

厚生労働省「大麻・ケシの見分け方」ハンドブックより

ケシってどんな植物?

アヘンの原料が「ケシ」とは知っていても実際にケシの花を見たことがある人はほとんどいないハズ。

なぜなら、ケシの栽培はあへん法に基づいて許可を得なくてはいけない。しかもその許可を得るには栽培地を2重の金網で仕切り施錠や監視システムなどいくつもの項目をクリアしなければならない。一般人はもちろん許可が下りるわけもない。栽培はごく一部の研究機関でなければ無理。よって普通に暮らしていて目にすることはないのです(゚Д゚)ノ

栽培が禁止される「ケシ」

ケシは漢字では「芥子」と書き、英名:Opium poppy、学名 Papaver somniferum

ケシ科ケシ属に属する一年草の植物。 アヘン採取のために栽培されるケシは多くがこのソムニフェルム種。

原生地は地中海、または東ヨーロッパといわれているが、現在野生の原種が発見されていないため正確にはよくわからない。

古代シュメール人も効能を知り、利用していたというから、人との関わりは相当長いですね(≧▽≦)

現在は日本に限らず各国で栽培が禁止されていて栽培地はかなり限定される。

国際条約で縛られるケシ

アヘン戦争のように国を亡ぼすことにもなりかねない危険な植物。これを防ぐためにも、現在は国際条約でケシからとった「アヘン」を輸出していい国が4か国だけ決められています。それが インド、中華人民共和国、北朝鮮 、そして日本です

世界的に見てもこの4か国以外はアヘンを輸出することができないらしい(自国で生産することは可能)。しかし、実際には輸出のほぼ100%をおさえているのはインドだけで、ほかの国は自国内の利用分くらいしか生産されていない。

日本もかつてはアヘン採取のため生産する産地もあり年間50トンもの生産があったとされる。戦後GHQの管理の元で、ほとんどが禁止されたため現在は年間数キロにとどまっている。

現代でも薬である「モルヒネ」を作るためアヘンが必要だが、日本は国際的に輸出が認可されているにもかかわらず国内の需要を賄うこともできないほどに生産もない、現在そのほとんどをインドからの輸入に頼っています(^_^;)

毒は薬にもなる「ケシ」

ドラックとして使われるケシからとれたものを「阿片(アヘン)」と呼びます。アヘンを精製して作られる薬品が病院で利用される「モルヒネ」さらに精製を進めると、強力な麻薬「ヘロイン」が完成する(゚Д゚;)

近年は東南アジアなどを中心に違法アヘンの製造が、テロ組織の資金源となることもあり問題となっています。

ケシから作られる麻薬いろいろ

阿片(アヘン)

ケシからとれるアヘンは、吸い込んだり注射することで 中枢神経を抑制し、落ちついた気分と多幸感を味わいます。

しかし、この多幸感は依存性が強く、使用するほどに体が慣れて効果が薄くなっていく。さらなる幸福感を求めて量が増え最後には廃人になって死に至る。恐ろしい薬(;´Д`)

ヘロイン

ドイツでモルヒネなどに代わる依存作用のない薬であると発表された。しかし実際は阿片(アヘン)より効果の強いヘロインはさらに危険で、大量の麻薬中毒者を出すことになり、現在では多くに国で厳重に禁止されている。

モルヒネ

阿片(アヘン)を精製したものがモルヒネ。現在もガンの痛みを和らげる鎮痛剤として重要な薬。実際には和らげるというより痛みが脳に伝わるのを遮断するような働きをする。もちろん使用を間違えば依存症などの副作用もあるが、がんの鎮痛剤としては今も重要な薬として利用される。

ケシ以外に栽培が禁止されるケシの仲間

ケシの仲間には園芸品種として栽培が許可されているものと、アヘンの原料となる成分が取れるため栽培が禁じられているものがある。ここで厚生労働省から配布されるパンフレットから見分け方を紹介します。

栽培が禁止されているケシ

アツミゲシ

厚生労働省「大麻・ケシの見分け方」ハンドブックより

北アフリカ原産の1年草で、愛知県の渥美半島に帰化して大繁殖していたことからアツミゲシの名があります。ケシによく似ていますが、全体に小さく、まばらに小剛毛があります。

ケシ( ソムニフェルム種 )と、このアツミゲシの特徴は茎を抱く葉。茎を包むように葉がついているのが大きな特徴です。

ハカマオニゲシ

ハカマオニゲシは禁止だが、そっくりなオニゲシは「オリエンタルポピー」の名前で園芸利用されることもある。

ごくまれに園芸用品種に栽培が禁止されるハカマオニゲシが混ざることがあるので注意が必要。見分け方が難しいからか、近年オリエンタルポピーは販売が減っている。

厚生労働省「大麻・ケシの見分け方」ハンドブックより

これは本当にそっくりなので、信頼できるお店で購入しましょう(゚Д゚)ノ

見分けのポイントは花の下に袴のようながく片が残るのが育てちゃいけないハカマオニゲシ。

また緑が濃いのがハカマオニゲシ。見比べないとなかなか難しいかも(^_^;)

育てていいケシ

このほかのケシは栽培しても大丈夫。代表的なのがアイスランドポピー(一年草)やカリフォルニアポピー(一年草)ヒナゲシ・虞美人草(一年草)など。

一般的には春ころ園芸店で販売されます。もちろんアヘンはとれません(゚Д゚)ノ

丈夫な植物、ケシの育て方

ケシは肥料が少なくてもよく育つ育てやすい植物。上記の園芸用のケシも、育てちゃいけないケシもこぼれ種で増えるくらい丈夫(≧▽≦)

園芸用のケシは花苗として早春から販売されます。普通の花と同じように花用の培養土で植え付け、日当たりのいい場所で管理すれば次々花を咲かせます。暑いのが苦手なので夏前には種をつけて枯れる1年草。

この種になる前の未熟な実から ソムニフェルム種 の場合はアヘンが取れます(゚Д゚;)

いわゆる「ケシ坊主」と呼ばれる玉状の実が花の後につきます。

これは育てていいケシ「オニゲシ」のケシ坊主

この実に傷をつけると白い液がにじみだしてきます。少しすると乾燥して黒く固まる。それを集めたものが「アヘン」です(゚Д゚)ノ

園芸品種からも同じように液は出ますが、麻薬成分は含まれませんので集めても無駄ですよ~(゚д゚)

園芸でよく利用されるアイスランドポピー・カリフォルニアポピー・ヒナゲシは大きくなても1m程度ですが、アヘンを取るソムニフェルム種は2m近く育つ大型の草です。

こぼれ種で増えるので、外国などで知らぬ間に種を持ち込んでしまって生えてくることがあります。その場合は警察か近くの保健所に連絡しましょう。処分しに来てくれます。

もちろん故意に栽培していたのでなければ逮捕されないので安心してください(^_^;)

ケシの種は食べても大丈夫!

恐ろしい毒を持つケシですが、種子は食用になります。

よく見るものだと、アンパンの上に乗っているごまのような粒。コレがケシの種「ポピーシード」です。

種子は煎ると香ばしく、あんパンやケーキの他、七味唐辛子に入っていたりします。

もちろん販売しているポピーシードは加熱して発芽しないようになっていますが、仮に発芽できる能力のあるケシの種を所持していても、あへん取締法の対象外なので逮捕はされません。

ただし発芽させた時点で捕まるので要注意ですよ(゚д゚)!

まとめ

今でも芸能人が使用していたなど、話題に登ることが多い「麻薬」

自分は関係ないと思っていても、どこからか飛んできた種で生えてくる事があるかも(*_*)

特に海外に行くことが多い方は、管理の緩い国では園芸品種に混じっていたりするので、育てていい「ケシ」かどうか見分けられるように勉強しておきましょう。

更に詳しい見分け方がこちらのサイトで確認できます。

厚生労働省でも、パンフレットを作成して広報活動を行っています。

怪しい植物を見かけたけど、警察はちょっと・・・という場合は各地の薬用植物の研究機関の相談するのも良いかもしれません。

独立行政法人 医薬基盤研究所

  • 薬用植物資源研究センター・北海道研究部 01654-2-3605
  • 薬用植物資源研究センター・筑波研究部   029-838-0571
  • 薬用植物資源研究センター・和歌山研究部  0738-22-0497
  • 薬用植物資源研究センター・種子島研究部  0997-27-0142

麻薬、だめ!絶対!(゚д゚)!

正しい知識で楽しい園芸。園楽を!