和紙の原料って知ってる?『楮・三又・雁皮』
日本で昔から伝統的に作られる紙「和紙」その原料を知っていますか?
現在の紙(洋紙)のほとんどは針葉樹木材の繊維から作るパルプによって作られています。
和紙も同じように植物の繊維から作ることは変わらないのですが、昔から和紙を作るのに利用される代表的な3種の植物があります。
今回はそんな3種の植物と、それぞれの特徴についてご紹介します(≧◇≦)
目次(*´▽`*)
もっとも多く使われる和紙原料『コウゾ』
コウゾは漢字で『楮』 学名はBroussonetia kazinoki × B. papyrifera と表記される。これはヒメコウゾ(学名:Broussonetia kazinoki)とカジノキ(学名:B. papyrifera)の雑種 であるための表記。
コウゾの樹皮は強靭で長い繊維のため、最高級の和紙を作る材料としてもっとも使われる。
クワ科の落葉樹で3~5mに育ちます。雌花雄花は別だが、1本の木に両方の花が咲く雌雄同株。春に花が咲き6月に実る。
クワの木(マルベリー)と似た実で食べられる。甘みはあるが粘着き、舌触りの悪さからクワほどおいしくないらしい(^_^;)
成長は早く、生産性も高い。江戸時代には、クワ、ウルシ、チャと並ぶ「産業の四木」として栽培が盛んだった。
コウゾから生産される和紙の種類
栽培がしやすく収量が多く、繊維も取り出しやすい。そのため日本で一番多く使われている。
生活用具として使われる和紙の大半をコウゾの和紙が占めます。
障子紙(しょうじがみ)・傘紙(かさがみ)・書画用紙(しょがようし)・版画用紙(はんがようし)・本・提灯紙(ちょうちんがみ)など多岐にわたって利用されます。
しかし、現在大量生産される和紙に使用されているコウゾはほとんどがタイ産からの輸入です。(。-`ω-)
国産品は価格の急騰などで一部の特別な利用に限られるようです。
お札の原料『ミツマタ』
江戸の前期から和紙の原料として使用され始め、現在でも紙幣の和紙はこのミツマタで作られている。
ジンチョウゲ科ミツマタ属 (学名:Edgeworthia chrysantha)に分類される落葉低木。樹高は最大で2mほどにまで育つ。
花は通常黄色で、品種で赤花のアカバナミツマタもある。最大の特徴は名前の通り枝のほとんどがミツマタに別れて育つこと。ここまでしっかりミツマタに分かれる植物も珍しい(゚д゚)!
早春2~3月に咲く花は黄色く美しいので庭木としても人気。
ミツマタから作られる和紙の種類
代表的なものは上でも書いた通り「紙幣」明治になってお札を発行する際、はじめはこの跡説明するガンピを使用してお札を作ろうとしたが、成長の遅いガンピでは栽培が大変。ということでミツマタが使われるようになった。
他には 証券用紙・箔合紙・賞状用紙など一般利用というよりも、大事なときに使用する高級な和紙として利用される事が多い。
最も高級な和紙の原料「ガンピ」
こちらもジンチョウゲ科の植物。ジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木。
高さは1~3mで 四国、九州、静岡、兵庫など暖地に多く自生する。花の時期はジンチョウゲに比べて遅く初夏の頃。ミツマタに似た黄色の小花を咲かせる。
人工栽培が困難なので野生のものを利用することが多く最も高価。
繊維は短いが、質がよく優美で光沢があり、繊維そのものに粘性がありトロロアオイなどのつなぎを入れる技法が見つかるまえは他の素材に混ぜて繊維をつなげる役目としても利用された。
非常に繊細な和紙が作れる。遣唐使が中国に持参したという記録もあり、献上品として十分価値のある立派な製品であったと考えられます。
ガンピから作られる和紙の種類
人工栽培が難しく、山に生えているものを収穫するので生産量が少なく高価。日本画用紙・版画用紙・箔打ち紙・襖紙などに利用される高級和紙。
このほかに使われる植物
和紙を作る際は繊維通しがよくからまなければなりません(゚д゚)
そのため繊維に粘り気を与える役目で『トロロアオイ』や『ノリウツギ』の根からとった『ねり』というものが使用されます。
『ねり』とは?
使用する植物の名前に「とろろ」や「のり」の名があるように、粘り気を与えるものですが、実はいわゆる接着材のような役目ではない(゚Д゚)ノ
和紙を作る過程でどろどろに溶かした繊維を木枠ですくう「紙漉き」を見たことがあるかもしれませんが、この時に繊維に粘りがないと水より重い繊維はすべて沈んでしまいうまくすくえないんです。
そのため粘りの力を借りて繊維が散らからず、均一に広がるようにしているのです(≧▽≦)
これによって滑らかな和紙ができるようになるんですね。
コウゾ・ミツマタ・ガンピが和紙の原料として使われている理由
繊維があればどんな植物からも紙は作れます。しかしその中で和紙の原料がこの3種に限られるのはそれなりの理由があるんですΣ(・ω・ノ)ノ!
- 繊維が長く強い強度があること
- 繊維がたくさん取れること
- 原料の入手が容易であること
- 加工しやすく繊維が取り出しやすいこと
- 加工した後きれいで使いやすいこと
などがあげられる。
これらの素材が使われる前は大麻(アサ)の繊維を使った麻紙が使われていました。これは紙の起源ともいわれています。
最古の紙といえばエジプトのパピルスなのでは??
エジプトのパピルスは繊維をとるのではなく、皮をはいでたたいて圧着する不織布のような作り方なので厳密には紙とは呼べず、麻の紙こそが本当の紙の起源なのだそうです('Д')
しかし、繊維が長く丈夫過ぎる麻を紙にするには、逆に繊維を細かく切らなくてはならず大変だった。苦労して完成した麻紙も、表面が荒く字を書くのが困難だった。いろいろな植物が試された後に、江戸時代からはコウゾ・ミツマタ・ガンピが主流の原料として定着して行ったのです(゚Д゚)ノ
現代では紙の起源となった麻も見直され、再生紙の繊維強化や新たな紙素材としてまた注目されています。
まとめ
和紙の原料は主に
- 楮(コウゾ)
- 三又(ミツマタ)
- 雁皮(ガンピ)
の3種。
繊維が丈夫でなめらかなものが利用される。
繊維をまとめるのに使われるトロロアオイやノリウツギは「のり」としてではなく、紙すきの際に繊維がまとまりやすくするためにつかわれ接着力はない。
日本の紙、和紙についてはいろいろと知らないことも多いですね(^_^;)
パピルスが厳密には紙ではなかったというのはちょっと衝撃でしたΣ(・ω・ノ)ノ
こんど和紙を使う際には原料が何の木か気にしてみてくださいね。
では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙
“和紙の原料って知ってる?『楮・三又・雁皮』” に対して2件のコメントがあります。