世田谷区の花サギソウの育て方と球根の保管、培養土は何を使う?
もうこの花以上に、その姿を的確に表している植物はないんじゃないかな(≧▽≦)
真夏に真っ白い花をたくさん咲かせる湿地性の植物。
見れば納得。100人中100人が「なるほど確かに!」と納得の名前。
今回紹介する植物は、空にシラサギが舞うような花「サギソウ」です(*'ω'*)
目次(*´▽`*)
サギソウってどんな花?
サギソウは湿地に生えるラン科サギソウ属の多年草。学名:Pecteilis radiata。
ミズトンボ属(Habenaria radiata)とされることもあります。
世界的には600種ほど仲間が存在しており、日本でも11種が知られています。
園芸的には何種類かの品種も存在するけど、花の見た目はほとんど同じ。
主に葉の斑の入り方でいくつかの品種が知られます。
お店では、葉の縁が白く斑の入った『銀河』が多く流通していますね(*'▽')
サギソウの花の作り
サギソウは「ラン」の仲間。
そうは言っても、とてもランには似て見につかない(-ω-)?
そう思いますか?でもよくよく見ると、まさに『ザ・ランの花』という形をしてるんです。その証拠に、代表的なランである胡蝶蘭の花と比べてみましょう。
注目するのは、胡蝶蘭の青丸で囲った部分、ご覧ください!まさにそっくり!
胡蝶蘭の特徴的な大きい花弁に見えるのはガク片で、サギソウではこじんまりと花の後ろについています。
代わりに「唇弁」と呼ばれる下の花びらが大きく育った姿が、シラサギの飛ぶ姿に見えるんですね(≧▽≦)
どうですか?羽根の切れ込みまで素晴らしく再現!
サギソウの花粉はだれが運ぶ?
サギソウの特徴はそのサギのような姿と、もう一つ。花の後ろに長く垂れる『距』(きょ)と呼ばれるしっぽのような器官。
この『距』の一番奥。
膨らんだ部分に花の蜜が入っているんです。
この蜜を飲めるのは、長いストロー状の口を持つ蛾や蝶の仲間。
虫が密を飲みやすく口を長く進化させると、サギソウも顔を突っ込んで花粉をつけてもらえるように、さらに距を長くする。
虫はさらに口を長く、サギソウはさらに距を長く……
と進化を続けた結果、サギソウは長い距を持つようになりました。
サギソウの蜜を吸うには顔を花の奥まで突っ込まなくてはならず、その時に花粉を顔いっぱいにつけて次の花に花粉を運ぶことになるんです。
サギソウの育て方
江戸時代以前は東京も広く湿地だったから、一面サギソウが咲いていた時代もあったそうです(≧▽≦)
昔は世田谷の湿地にも広く自生していたことから、今でも世田谷では毎年7月には「せたがやホタル祭りとサギ草市」が開催されています。
サギソウの管理
湿地に自生するサギソウは乾燥が苦手なので、水を切らさないように管理します。
日差しは好きですが、夏の日差しは強すぎるので半日陰になるような場所を選んで管理しましょう('ω')ノ
花の後に種をつけると、球根が太れなくなるので、種がつかないように花がらは外すようにしましょう。
種から咲かせるのは難易度が高いので、球根から増やすのが一般的。
うまく育てれば1年で2~3倍の数に増やすことができますよ(≧▽≦)
サギソウの肥料
サギソウはもともとやそうなので、それほど肥料は必要としません。
ですが、4~7月の生育期に薄めの液体肥料(通常の倍くらいまで薄めたもの)を10日に1度与えることで、花付きをよくして充実した球根を育てることができます。
開花中は肥料は控え、花後球根肥大のため9~10月にも同じく10日に1度与えてあげましょう。
使う肥料は開花前は液体のハイポネックス。
球根肥大期にはハイポネックスの微粉がおすすめ。球根を育てるカリ分が豊富に含まれています。
サギソウの増やし方
サギソウは種もできるが、種からの繁殖は非常に大変(;´Д`)
でも、地上部が枯れた後にできる球根を利用することで、簡単に増やすことができます。
- 種に栄養が取られないように、花がらを切り落とします。
- 肥料を与えて球根を肥大させます。
- 地上部が枯れるまで待ちます。
- 地上部が枯れて1ケ月くらいしたら掘り上げます。
サギソウは1年でかなり増えるので、毎年植え替えを行いましょう。
サギソウの球根の保管
冬でも凍らない地方なら、鉢のままで越冬できます。
地上部が無くなっても乾燥させすぎないように注意しましょう(゚Д゚)ノ
水苔を厚く敷いて発泡スチロールの容器などに入れておくと安心ですね。
東北地方など、冬に土が凍ってしまう地方では、そのままだと球根が傷んでしまうので掘り上げて保管します。
とはいえ、乾燥させてはダメなので、湿度を保って一定の低温で保管する必要があります。
簡単な保管は、掘り上げた球根を軽く湿らせたミズゴケに包んで、ジップロックに入れて冷蔵庫の野菜室でに入れて保管する方法。
たまに開けて球根が傷んでいないか確認すると安心ですね(≧▽≦)
サギソウの土
植え付け時期は1~3月。球根が芽吹く前が適期です。
鉢のまま越冬させたものは掘り上げて、充実した球根をより分けておきましょう。
サギソウは湿地の植物なので、使う土や管理が普通の花とはちょっと違います。
おススメは鹿沼土(中粒)を浅めの鉢に敷き詰め、球根を並べ、上を湿らせたミズゴケで覆う植え付け方。
球根は芽が出る細い方を植え向きに植えますが、わからなかったら横向きでも構いません。
湿地の植物なので乾燥が苦手ですが、水がとどまるのも苦手。
腰水(鉢ごと水に浸ける)場合は鉢底だけをつけて球根が水に沈まないよう注意しましょう。
世田谷区の花「サギソウ」
世田谷では毎年サギソウ祭りが開催されていると紹介しました。
これは、世田谷区の花として「サギソウ」が指定されているから。
単に以前自生地があったからというだけの理由ではなく、これには世田谷に伝わるとある伝説があったのです(゚Д゚)ノ
常盤姫の悲劇
常盤姫は戦国時代、世田谷城主の吉良頼康(きらよりやす)に嫁ぎました。
頼康の寵愛を受けていた常盤姫は、他の側室の企てにより「身ごもった子は殿の子ではない」というあらぬ噂を立てられ孤立していきます。
もう耐えられないと、常盤姫は自害して身の潔白を示すことを決め、思いのたけを込めた手紙を白鷺の脚につけて実家の父に向けて放ちます。
ところが、たまたま狩りをしていた頼康の矢が、文を持つ白鷺を打ち落としてしまいました。
白鷺の脚についた文を読んだ頼康は、慌てて城に戻ったが、時すでに遅く常盤姫とおなかの子は息絶えてしまっていました。
姫の思いを運んだ白鷺が死んだ地には、鷺の形に似た白い花が咲くようになったということです。
まとめ
サギソウは大正時代くらいまでは東京を始め日本全国で見られていましたが、都市化開発により湿地が失われ、現在では絶滅危惧種に指定されるまでになっています。
育ててみたい場合はお花屋さんで簡単に手に入ります。
自生地の花を掘るのは絶対にやめてください(゚Д゚)ノ
現在でも、自生地では観光客による盗掘が多くあるそうです。
サギソウは開花時期に掘り上げてもそのほとんどが枯れてしまいます。
自然のものはそのままの姿で楽しみましょうね。
風にそよぐような花姿は、夏の暑さを忘れさせてくれます。
管理も簡単なので、ぜひ育ててみてくださいね(≧▽≦)
では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙