イケメンつる植物”美男カズラ”の不思議な実

ビナンカズラ表紙

今回の植物は現代風に言えば「イケメンつる植物」こと、美男カズラ(ビナンカズラ)です。

ビナンカズラ(サネカズラ)ナンでも図鑑様より引用

美男カズラとは?

写真を見ても「どこが美男(イケメン)?」と首をひねることかと思います(^_^;)

別にこの植物が”イケメン”に見えるというわけではありません。万葉の時代からこの植物を整髪剤(鬢付け油)の代用として使っていたために”美男”の名前がついたのです(゚Д゚)ノ

整髪料に使われるのは枝で、これをぶつ切りにして水に入れると粘液ができるのでこれを髪に塗って髪を整えていたようです。

本来の鬢付け油は 木蝋(もくろう)・菜種油・香料などを練ってつくるのですが、高価なため庶民はそれらの代用品として使っていました。

男性だけでなく女性も使っていたようですが、昔はちょんまげを固めるのに利用していたので美女より美男のほうがしっくり来たんでしょうね(^_^;)

こちらのページでビナンカズラの粘液について調査していました。参考にしてみてくださいね。

ビナンカズラは何もの?

ビナンカズラ(美男カズラ)は正確ではなく、本当はサネカズラ(実葛)といいます。

カズラはつる植物という意味。

常緑性のつるで秋には特徴的な赤い実をつけます。学名はKadsura japonica

つまり”イケメンつる植物”か、”実が面白いつる植物”という意味。

確かにほかの植物ではあまり見たことのない実の作りをしています(@_@)

美男カズラ(サネカズラ)は マツブサ科サネカズラ属に分類されます 。

マツブサ科なんてあまり聞いたことないですが、薬になる”朝鮮五味子”と同じ仲間なようです。

ビナンカズラも同じように漢方薬として朝鮮五味子の代用として利用されるらしい。

こっちも代用品なんですね(^_^;)

ビナンカズラの花

中心が赤いのが雄花、緑の方が雌花です。

ビナンカズラは基本的に雌雄異株。

雄雌がそろわないと実をつけません

しかし、1本に雄雌の花が両方咲く雌雄同株も普通に存在するようで、お店で販売されるものは雌雄同株のものが多いようです。

一説には成長とともに雄雌が変化するという説もあり、よくわかっていません。

その株に雄雌なんの花が咲くのかは、実際には”花が咲くまでわからない”というのが本当のところ(^_^;)

おそらくお店でも雄雌の表示をしていることはないと思います。

実付きの株なら雌であることは間違いないけど、雄は花の寿命も短いので確認するのは困難。

ましてや花や実の無い状態では雄雌の区別をするのは不可能です( ;∀;)

自生地なら自分で探すか、お店で売っている株が両性の株であることにかけるしかないでが、まあ、ほとんど大丈夫です。

ビナンカズラの実

ビナンカズラの特徴といえばやはり特徴的な実。

大きな玉に小さな赤い玉が群がってついているように見えます。

実際の実は周囲の小さい実だけ。

中央の大きな玉は”花床”といって実を乗せる台のような役割を果たしています。

同じような構造の果実は”イチゴ”

イチゴの種一個一個が膨らんで実になっているといえば、わかりやすいだろうか?

花床そのものは実ではないので、完熟した周囲の実が落ちても花床だけがつるに残っている姿を見ること合できます。

小さな粒一個一個が実なので、受粉も雌しべ一本一本にすべて花粉がつかないと丸く全体がふくらむ実にはなりません。

写真の実も未授精のものは緑のまま膨らんでいませんね(@_@)

雄花は1日でしぼんでしまうので、雄花が咲いたら受粉がまだの雌花のすべての雌しべに人工的に受粉を行いましょう。

これによってたくさんのきれいな実を楽しむことができます。

雌の花方が若干長く2~3日は咲き続けるようです。

ビナンカズラの実を食べてみた!

薬用としての利用はあるようだけど、生食はほとんど行われない。

ひとまず、毒はなさそうなので一粒味見してみた。

まずは周囲の小さな実をパクリ・・・(;´∀`)

うん。普通に甘いですね。美味しいかっていわれると、そうでもない。

食べれなくもない程度。

続いて、花床の部分。イチゴなどはここがメインの食用部分だからちょっと期待( *´艸`)

パクリ・・・・(。´・ω・)?

何だこれ、全然甘くないぞ。ダメです。甘みはありません。そういえば鳥も周りの実はつまんでも、真ん中の花床を食べるのは見たことないや。

結論、あまりおいしいものではないです(^_^;)

果実はそのまま食用にされることは少ないが、果実酒として利用されることは多い。

美味しい果実酒、というより、咳止めなどの薬効を利用するために作られるようですね。機会があったら作ってみよう(*'▽')

雄花がなくても諦めないで!

メスの花しか咲かない場合、実を見ることができません(ノД`)・゜・。

でもあきらめないで!

メーカーの使用作物に記載はないので自己責任にはなりますが、盆栽ではサネカズラの実をつけるためにトマトの実付きをよくするホルモン剤”トマトトーン”を使用するという情報がありました。どうしても雄花が咲かない場合は検討してみてくださいね(≧▽≦)

美男カズラの品種

あまり品種はないけど、ビナンカズラにも園芸品種があります。

通常は真っ赤に染まる実が”ピンク色”になったかわいらしいビナンカズラ。

こちらは『美女カズラ』と呼ばれています。結構レア。

さらに、ビナンカズラの斑入り品種もあります。

斑入りビナンカズラ『紅吹雪』

きれいだけど、斑入り品種は性質も弱く、ほとんど実を付けることはないのでビナンカズラとしての魅力は半減ですね(;´Д`)

ロイヤルガーデン

ビナンカズラの育て方

ビナンカズラの生育地域

関東地方以西~沖縄、中国、台湾などの暖かい地域に自生しています。暑さには強いのですが、寒さはやや苦手。

東北南部ならギリギリ生育できますが、冬は葉を落としてしまうことがあります。

ビナンカズラの日照

夏は多少暑さは平気ですが、直射日光化では葉が焼ける場合があります。

半日陰でも育つが、日当たりがいいほうが花付き実付きはいいのでできるだけ明るい場所に植えてあげてくださいね(*´ω`*)

ビナンカズラの用土

土

土はえらばないので、お庭植えなら腐葉土を混ぜて、鉢植えならお花の培養土などを使って植え付けできます。適期は3月新芽の動く前に終わらせましょう。生育がいいので鉢植えは毎年植え替えましょう。

ビナンカズラの剪定

つる植物なのでどんどん広がります。鉢植えであまり大きくしたくない場合は、5~6月に新芽が伸びたら新しい葉を2枚残して切り詰めましょう。

まとめ

生育良く、葉も密に茂ることから生垣としても利用されるビナンカズラ

気根を出して上るタイプのつるではないので建物にも傷をつけにくいです。

丈夫で育てやすいつる植物。

秋の面白い実は一見の価値あり・光沢のある美しい葉とともに目を楽しませてくれますよ(*'▽')

耐陰性が強いので室内で栽培することも可能です。

その場合は実を付けるために人工授粉してあげましょうね。

ぜひお庭で、観葉植物として、いろいろ楽しんでください。盆栽仕立てで楽しむこともできますよ。

では、よい園楽を~(≧▽≦)

イケメンつる植物”美男カズラ”の不思議な実” に対して2件のコメントがあります。

  1. 清重明佳 より:

     どの諸本の説明にも、基本的に【雌雄異株】と記されています。
    私どもは、素人のビナンカズラの愛育者でいうmeikaという者です。

    では、雄樹は市販されていますか?
    それとも、自生地で雄樹の写真を見つけらましたでしょうか?
    もし、赤い色の雄花だけ咲く雄樹があるなら、公開して頂きたいですね。
    雄樹はビナンカズラにとって、大切な子孫が生き残る花(花粉)でありますね。

    1つの花に雄花(雄しべ)と雌花(雌しべ)があるものを【雌雄同花】と言い、雄花(雄しべ)と雌花(雌しべ)が別々になっているものを雌雄異花(単性花)といいます。
    このひとつの樹に、雌雄異花が咲くのがビナンカズラ(サネカズラ)のつる植物ですね。
    雄花の花粉を人工授粉すると書かれていますが、実際その花粉は目に見えない『ロウヤ柿』なみなのですよ。
    それで、困ってもいます。 私どもは、素人育成者で、生き残るために雌雄同種に進化したと考えています。

    今年は、ジベレリン処理を雌花が咲いた時、3回程行いましたが「球果」はきれいに出来なかったです。雌花の状況やジベレリンの濃度や噴霧する時や回数など問題があるのかもしれません。

    上記は、すべて【雄樹】を探したいだけの記載内容ですのでご了承ください。
    もし、【雄樹】が見つかれば、お教えください。

    1. engaku-miyabi より:

      コメントありがとうございます。
      確かに、どの本を見ても『雌雄異株』との表記はあっても雄株の存在は確認できていませんね。
      お店で販売するのも、基本的に実つきの盆栽仕立てであることがほとんどです。

      植物の性は意外と適当で、成長とともに雄雌が変わったり、株によって雌だけ、雄雌両方、オスだけなど変化があるものなどあります。

      ビナンカズラはそこまで重要な商用作物というわけではないので、昔の研究で書かれた話を根拠にみんなそれに倣っているだけで、本当は最初から間違っているという可能性もありますね。

      盆栽の世界ではジベレリン処理できれいな実をつけると聞いたことがあるので、盆栽に詳しい技術者の方なら濃度や使用方法について知識があるかもしれません。

      もし何かわかることがあれば、記事を更新していこうと思います。
      ご指摘ありがとうございました。

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