花も実も楽しめる梅の木の育て方~実梅編~

実梅表紙

春の訪れを告げる花といえば、現代では桜を思い浮かべますが、万葉の時代主役は『梅』でした(≧▽≦)

今でも日本人は梅が大好き。花見の主役こそ桜に譲ったものの、縁起植物として、そして食用として、日本人の生活に欠かせない植物として現在も利用され続けています。

今回はそんな日本人に愛される植物『梅』についてご紹介しますΣ(・ω・ノ)ノ

今回は果樹。実梅についてご紹介

梅は奥が深すぎて書くことがいっぱい(^_^;)

そんなわけで今回は主に実を楽しむ『実梅』のお話。

ホームセンターなどでも果樹苗コーナーに行けば、ほぼ必ず売っている「梅の果樹苗」メジャーな果樹なので購入するのは簡単。基本的に丈夫な木なので育てるのも難しいことはありません。

実もつけやすいので初心者向けの果樹苗といえますね(≧▽≦)

では、花梅とのと違いは?

簡単に言えば『美味しい実がなるか?』これだけ(゚Д゚)ノ

花梅は花さえきれいに観賞できればいいので、実がつかなくてもいいし、ついても美味しくなくても問題なし。

『花』を中心に見て改良されているから、赤やピンク、八重やしだれなど色やその姿もいろいろ。そして長く楽しめるように早咲のものも作られています。

『実』を目的としてみた場合、花はあくまで虫に受粉してもらう目的なのだから、虫が集まりやすい白い花の方が効率がいい。花の時期もあまり早いと受粉してくれる昆虫もいない。

こうして実梅は比較的特徴のない無難な花姿になっていきます。それでもきれいだけどね(≧▽≦)

梅の品種を選ぼう

今回『実梅』と『花梅』を分けたように、実の収穫を目的とした梅と花の観賞用の梅では品種が違います。

とはいっても、どちらも同じ梅。実梅にももちろん梅の花は咲きます。花咲が咲かなきゃ実をつけないしね(^_^;)

ただし、花梅は上で書いたように実をつけにくい、またはついても種が大きく食べる場所がない。美味しくないなど利用価値が低いので、実の収穫を目的にしたものを選びます。あ、花梅の実も食べられますよ。普通食べないだけ(^_^;)

梅は1本では実がつかない(゚Д゚)ノ

さて、実梅の品種を紹介したいところですが、その前に重要なお知らせ。

果樹の中には1本では実がつかないものが多くあります。キウイのように雄雌が分かれているものもありますが、多くは自分の花粉では実をつけない「自家不和合」という性質があるから。

梅も多分に漏れず、自分の花粉では実をつけないものがほとんど。基本的には「小梅」という実の小さな梅を授粉用に植えます。

実は小さいが、その分花数が多く、大量の花粉を長い期間提供してくれます。

もちろん小梅にも実がつきます。カリカリ梅などに利用される小さな梅が小梅の実です。小梅は1本でも実をつけるから小梅の実でよかったら1本だけ植えても収穫が楽しめますよ(≧▽≦)

実梅の代表品種

梅の果樹としてよく出回る有名な品種をご紹介します(≧▽≦)

上で書いたように、ここからの梅が実をつけるには花粉をくれる小梅が必要。虫が運んでくれるくらいの近くに植えてあげましょう。

南高梅(なんこううめ)

日本一の梅の産地、和歌山の特産品。 サイズは25~35g 。

梅干し用に優れる大実品種。南高梅の梅干しといえば高級品です(≧▽≦)

もちろん梅酒やジャムなどの利用もOK。なんにでも使える万能梅。ほのかに紅を挿す実も美しい(●´ω`●)

授粉用に小梅が必須です。

白加賀(しろかが)

関東で主流の品種。 サイズは25~30g程度と南高梅に比べればやや小さいものの、 果肉は繊維が少なく緻密で肉厚。梅干しはもちろん、梅酒・梅シロップなど用途いろいろ。

江戸時代から愛される古い品種。

白加賀は特に自分の花粉が少ないので、小梅がないと全く実をつけません。

豊後(ぶんご)

実の大きさは 40~50gときわめて大粒(◎_◎;)

正確には梅とあんずの交配種ではないかといわれている。種が小さく果肉が多いので梅干しや梅ジャムなどに利用されます。

豊後は梅とあんずのハーフなので、ほかの梅とはちょっと違うことがいろいろ。

花色がピンク

白が基本の実梅の中で唯一といっていいピンク系の花色。花も実も楽しめるのが特徴。

花時期が遅い

掛け合わされたあんずの影響か、開花がほかの梅より20~30日遅い。小梅でも開花が被るかぎりぎりくらいです。

寒さに強く青森でも栽培可能

寒さに強いあんずの影響かほかの梅に比べて寒さに強く、青森を中心とした東北で栽培が盛ん。

比較的、自分の花粉でも結実できるので1本でもなんとか実を楽しむことができます(収量は少ない)

花もきれいで1本で楽しめることから、家庭果樹には人気の種類です。

つゆあかね

梅の最新品種。スモモと梅の交雑種。真っ赤に染まる実が特徴。その色は梅酒やジュースにしてもそのまま残るので鮮やかな「ピンクの梅酒」を作ることができるんです(≧▽≦)

果実も70gと大型。開花期が3月ごろと遅いので普通の小梅で花時期が合いにくい場合はあんずやスモモの花粉でも受粉できます。

まだまだ珍しい品種。梅酒を作るならおすすめですよ。

梅の育て方

育てる品種が決まったら梅を育てましょう(≧▽≦)

丈夫な果樹なので育てるのはそれほど難しくないです。

植え付け

土

植え付けは春か秋がおすすめ。ほかの季節にも植えられなくはないが、株が弱るので落ち着く気温の季節に植えるようにしましょう。

土は庭の土に5~10リットルをすき込んで果樹苗を植え付けます。

開花後に低温に当たると実をつけないので、寒い地方は遅咲きの豊後などの品種がおすすめです。

梅の誘引

根付くと梅はすごい勢いで成長します。放置すると枝が入り組み、風通しが悪くなることで病気の発生の心配もあります。樹高は2.5~3mにも育ち、収穫も大変になります。適度な高さで枝を横に引っ張って固定しましょう。

枝を横に広げると光をたくさん浴びることで実の付きもよくなります。

梅の剪定

昔から「桜切るバカ、梅切らぬバカ」といわれていて、梅は剪定で育てる木であるとされます。

なんでも切ればいいわけではなく、剪定は時期が大事。梅は7~8月に来年の花芽を作ります。花芽のできる場所はちょっとわかりにくいけど、去年伸びた枝から出た短い枝にできます。

冬:梅は成長の勢いがいいので、強い枝がたくさん出ます。そういった枝には今年の花芽はないが、来年つきやすいので1/3ほど切り戻します。

翌年の冬:切り詰めた枝から短い枝が伸びて、そこに花芽をつけます。

夏の枝透かし剪定:夏の剪定は込み合っている内向きの枝を外していく作業。強すぎる枝なども元から切り取ります。

中途半端に切るとさらにたくさんの強い枝が発生するので注意(^_^;)

梅の花が咲いたら

屋外の場合は虫がかってに花粉を運んでくれます。

しかし、花粉が少ない場合や室内で栽培している場合。また、ベランダで3階以上の高さの場合も虫が来ないので人工授粉を行います。

花粉は花の時期が合えば花梅や杏子の花粉でも大丈夫です。

梅の結実と収穫

うまく受粉すると5~6月に大きく膨らんだ梅がなります。収穫は用途に合わせて行います。

  • 実が青い時期に収穫    梅酒・シロップなどに使用。
  • 実が完熟したものを使用  梅干し・ジャムなどに使用。

梅干しの作り方

以前家で作った梅干しの作り方をまとめています。参考にどうぞ(≧▽≦)

梅の実には毒がある?

毒

これはホント。

青い梅の実には「青酸配糖体」という毒成分が含まれているので大量に食べると危険です(゚д゚)!

とはいえ、子供でも100個くらい食べないと深刻な影響はないらしいのでご安心を(^_^;)

ただし、青梅の種の中には結構強い量の青酸配糖体が含まれているので種を割って食べるのはやめた方がいいですね。

完熟果実や梅干しにしたものは、果肉に毒素が残ることはないのでもちろん安心して食べられます。種の中も同じようにほとんどは消えるのですが、少し残る場合もあるようなので食べすぎにはご注意(゚Д゚)ノ

梅干しの種の中の白い部分は仁といい、好んで食べる方もいます。別名「天神様」これは梅の花が好きな菅原道真に由来し、食べ過ぎると死んで天神様に会えるから、などとも言われます。

今までで「梅干しのタネを食べて死亡」なんて見たことないから普通に食べる分には問題ないと思います(*´ω`*)

まとめ

かなり簡単にまとめても長くなってしまった…梅は奥が深い(。-`ω-)

品種についてはもっといろいろあるけど、基本的に『主とする品種+授粉用の小梅』で大丈夫。

果物類は果汁も甘いので虫がつきやすい。特に梅はアブラムシが多いので春と秋は気をつけましょう。

では、よい園楽を~(。・ω・)ノ゙

参考図書

NHK出版 家庭で楽しむ果樹栽培

主婦の友社 家庭果樹の育て方、剪定のコツ