いずれ菖蒲(あやめ)杜若(かきつばた)あれ?ハナショウブは?

ハナショウブ表紙

いずれもよく似た美しい花で、区別するのが困難なたとえとして使われる

「いずれ菖蒲か、杜若」

これは、太平記に記される。

源頼政が怪獣ぬえを退治した褒美に上皇から 「菖蒲前(あやめのまえ)」という美女をいただくとき、12人の美女の中から見つけ出せと言われて読んだ歌が元になっています。

でも、この歌の漢字、菖蒲は”アヤメ”とも”ショウブ”とも読みます。

アヤメとショウブは葉は似ていても、グループも花も全く違う。なぜ同じ字で違う植物が表されているのでしょう(?_?)

さらに、アヤメ、カキツバタに加え、ハナショウブという植物も花がそっくり!

この3つ、あなたは見分けられますか??

今回のお話を読んでもらえばその疑問が解消しますよ(≧▽≦)

こどもの日の”ショウブ”はどれだ?!

では早速問題。菖蒲湯に使うショウブはどれでしょう?

​​​

(´゚д゚`)

さあ、どれだ!

答えは・・・一番左。ソーセージのような花がショウブです。2番目がハナショウブ、3枚目がアヤメ、4枚目がカキツバタです。

この中でショウブだけがサトイモ科、あとはアヤメ科です。

こんなソーセージみたいな花見たことない!?そうでしょうか(=゚ω゚)ノ

この花に白い苞をつけたらほら、水芭蕉 (≧▽≦) 赤い苞だとアンスリウムですね。

全然違う”ショウブ”の花、なんで『菖蒲』の漢字を”ショウブ”と”アヤメ”同じ漢字で2つの植物を表しているのか?それには悲しい物語があるんです(^_^;)

邪気を払う草として万葉の時代から利用されていたサトイモ科の「ショウブ」

菖蒲(ショウブ)はサトイモ科ショウブ属に分類される池や川などの湿地に生える植物。

中国では昔から葉の形が刀に似ていること、爽やかな香りが邪を払うと考えられたことから、縁起の良い植物とされ、家屋の軒に吊るしたり、枕の下に置いて寝たりした。

日本でも、端午の節句に使われ始め、「しょうぶ」の音が尚武、勝負にも通じるため武士の間でも広まった。また、芳香のある根茎を風呂に入れ、菖蒲湯として用いたりする。漢方薬(白菖、菖蒲根)としてもりようされた。

これらのことから男子の厄払いのため端午の節句には菖蒲を浮かべたお風呂につかる風習が広まったといわれている。

ハナショウブはお風呂に入れても香りませんよ!!

こどもの日に使うときは、”ハナショウブ”ではなく”ショウブ”を購入しましょうね(^_^;)

名前を次々に奪われる。悲しい植物「菖蒲」

さて、この4種は葉だけを見ればよく似ている。

そのため混同されることもしばしば、しかもサトイモ科のショウブこそが、もともとは「アヤメグサ」と呼ばれていたんです(=゚ω゚)ノ

それがなぜ名前を奪われてしまったのでしょうか?

万葉集で読まれる「アヤメ」は「ショウブ」のこと

万葉集には12種もの歌に「アヤメグサ」が登場するが、そのすべてが「玉につく」や「蘰にする」など葉の特徴をうたったものだけでただの一つも花についての記述がない。

これらのことからこの「アヤメグサ」は現在の「ショウブ」である可能性が高いという。

現在、名前の由来を調べると、「アヤメの名の由来は花の模様が編目(あやめ)に見えること」だと言われていますが、実は編目なのは花ではなく刀状の葉が斜めに伸びるさまからだったと言われています(゚Д゚;)(諸説あるようですが)

そしてもともとは現在の「ショウブ」がその名を持っていた。

それでは花のきれいな「アヤメ」はというと、こっちが「ハナアヤメ」と呼ばれていた。

それがいつの間にか”ハナ”が取れてただの『アヤメ』が正式名称となっていった。

もともとの「アヤメグサ」こと現在のサトイモ科『ショウブ』は名前を奪われ、ショウブと呼ばれるようになっていった。

このため、漢字では今でも『菖蒲』と書いて「ショウブ」とも「アヤメ」ともどちらにも読むんです。

サトイモ科ショウブの苦難は続く!

万葉の後の時代に『アヤメ』に名前を奪われたサトイモ科の「ショウブ」

そして今、ショウブはその名もハナショウブに奪われようとしている(;´・ω・)

現代でショウブといったら、ほとんどの人がハナショウブを思い浮かべてしまうんです。もはやサトイモ科の「ショウブ」はこどもの日にしか目にすることもなくなった非常に不憫な植物なのです( ;∀;)

せめてこどもの日くらいは「ショウブ」を利用して菖蒲湯に入ってあげましょう(^_^;)

アヤメ科の3種の見分け方

そして本題、ハナショウブ・カキツバタ・アヤメの見分け方。

​​​ポイントは、花の中心の模様です(=゚ω゚)ノ

黄色い模様がハナショウブ

白かったらカキツバタ

編目模様はアヤメ です٩( ''ω'' )و

違うのは花だけじゃない。生育地も違う

似たような3種ですが、生える場所も違うんです。カキツバタが一番ショウブと近く池の浅瀬など、常に水の張られている環境で育ちます。

ハナショウブは水を好みますが、完全な湿地性というわけではなく、水は与えられれば陸地での栽培も可能。

そしてアヤメは水に浸かっていたら腐ります(゚Д゚;)

アヤメだけは完全陸生。土が乾燥する場所を好むので地植えの場合も畝などで高植えにして余分な水ははけるようにしましょう。

現在お庭ではアヤメの仲間の「ジャーマンアイリス」が花色も様々に改良されていて育てやすいから人気ですね。間違ってもビオトープの中なんかに入れてはダメですよ(゚Д゚)ノ

まとめ

アヤメは花の中心に編み目模様。乾燥地で育つ。

花の中心が黄色、陸地でも湿地でも育つハナショウブ。

池の中で咲く花の中心が白のカキツバタ。

いずれ菖蒲か杜若といわれるけど、よく見ればそれぞれに違った美しさがあります。

各地で「あやめ祭り」も開かれているけど、意外とアヤメじゃなく「ハナショウブ」が中心だったりします(^_^;)

「ハナショウブまつり」では語呂が悪いからかな?でもジャーマンアイリスのような花を求めて訪れるとがっかりすることもあるから、事前に本当にアヤメ(アイリス)なのか確認して見学に行くことをお勧めします(=゚ω゚)ノ

「あやめ祭り」で検索するとほぼ全部「ハナショウブまつり」でした(゚Д゚;)

ジャーマンアイリスまつりご存知だったら誰か教えてください(-ω-)

では、皆様よい園楽を~(。・ω・)ノ゙


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